『HELP / 復讐島』『大命中!MEは何しにアマゾンへ?』など最近配信で観た映画

HELP / 復讐島 (監督:サム・ライミ 2026年アメリカ映画)

パワハラ気味の上司ブラッドリーと、周囲から浮いた変わり者の会社員リンダ。出張中の飛行機が墜落し、生き残った二人は無人島に辿り着く。サバイバルを進めるうちに力関係が逆転し、リンダの溜まりに溜まった不満と怒りが爆発していく。

観ていて邦題や喧伝されている内容とは随分違う物語じゃないかと思った。主人公リンダがどうにもイケてなくて、最初から周囲にハブられているのが納得できるレベルの変わり者だ。彼女の視点で描かれるのに、感情移入するどころか「こいつこそ人間関係に根本的な問題ありそう」としか思えなかった。

上司ブラッドリーは冷淡で傲慢な男だが、世の中にごまんといる程度のキャラクターで、嫌な野郎ではあっても人間の屑というほど極端ではない。それなのにリンダがエスカレートしていく復讐はただの過剰な逆恨みにしか見えず、共感の余地がほとんどない。

映画『逆転のトライアングル』とプロットが似すぎている部分も興が削がれた。あちらは社会風刺が効いていたが、本作は無人島でただエグいことを延々やるだけで深みもひねりも薄い。サム・ライミらしい血しぶきとグロテスク描写、ブラックユーモアは出ているものの、「エグくて後味が悪ければ面白い」という監督の信条が前面に出すぎて、ただ不快で消化不良に終わった。というかこの物語、「なんにもしない亭主とそれに苛立つ嫁」のメタファーだったんじゃないかな?


www.youtube.com

HELP/復讐島

HELP/復讐島

  • Rachel McAdams
Amazon

大命中!MEは何しにアマゾンへ? (監督キム・チャンジュ 2024年韓国映画)

元アーチェリー韓国代表のジンボンは、会社からアマゾン奥地で弓の名手を探す無茶なミッションを押しつけられるが、ヘリの故障でジャングルに投げ出される。しかしそこで神がかった才能を持つ原住民3人と出会い、クセの強い通訳パンシクと共に彼らを韓国に連れ帰り、世界大会に挑むが!?という異文化交流ドタバタ・スポーツコメディ。

ギャグは全体的に滑り気味で、パンシクの鬱陶しいキャラクターが少し目につき、試合シーンの緊張感も薄めで盛り上がりに欠ける部分があった。笑いのテンポが大振りすぎた印象を受けた。

ただ、作品の強みは別の部分にある。アマゾン原住民たちを偏見なく自然に描き、彼らの価値観や誇りを尊重する姿勢が好印象だ。また、背景に資源採掘(金鉱山開発)を巡る国家と原住民の対立をさりげなく織り交ぜ、「才能を何のために使うか」や「資本主義の理不尽」といったテーマを軽やかに感じさせるバランスが秀逸で、後味を良くしている。

何よりヨム・ヘラン演じる主人公の妻が最高だ。族長より怖いほどの鬼嫁パワーで存在感を放ち、物語を締めくくる。『市民捜査官ドッキ』での強烈な朝鮮族役を思い出し、彼女の「強いおばさん」路線がここでも全開だった。王道エンタメの枠内で社会派要素を忍ばせ、友情の温かさとアーチェリーシーンの爽快感が魅力のこの作品、笑いがイマイチでも十分楽しめる、ストレス発散におすすめの一作だ。


www.youtube.com