ハンサム・ガイズ (監督:ナム・ドンヒョプ 2024年韓国映画)

『ハンサム・ガイズ』は、2010年のカナダ映画『タッカーとデイル 史上最悪にツイてないヤツら』の韓国リメイク作。監督は長編デビューとなるナム・ドンヒョプ。主演にイ・ソンミンとイ・ヒジュンを迎え、森の新居に引っ越した自称ハンサムな中年男二人が、若者たちに殺人鬼と誤解されドタバタに巻き込まれるホラーコメディだ。
原作『タッカーとデイル』は、田舎町の善人中年二人がキャンプ中の大学生たちから殺人鬼と勘違いされ、誤解の連鎖で大学生たちが次々事故死していくブラックユーモアの傑作。韓国版は舞台を韓国山奥に移し、古代の悪霊を加えたオカルト要素を大胆に注入。地下室の封印が解かれ、憑依やゾンビ化が起きる後半の展開は『死霊のはらわた』オマージュも効いて新鮮で、誤解コメディから本格ホラーへのジャンル転換が意外性たっぷりだ。
しかし、ギャグの悪乗り具合が目立つ。序盤のドタバタは笑えるが、途中で無理矢理感が強くなり、白けるシーンが多々。バカな若者たちが勝手に死んでいくのは構わないが、殺し方の強引さが鼻につく。何より残念なのは、主人公二人が特に不細工でも田舎臭くもなく、ちょっぴり小汚くはあったがそれなりに好感の持てる普通のオッサンだったこと。こんなオッサンだったらその辺にいっぱいいるじゃん?
一方で良かったのは、パク・ジファン演じるおバカな警官。『爆裂都市』シリーズでおなじみの彼が、コミカルに場を盛り上げてくれる存在感は抜群。全体としてポテンシャルはあるのに、ギャグの匙加減と主人公のキャラ設定が惜しい。原作ファンには物足りないが、オカルト要素の新鮮さと軽いノリで楽しむ分には悪くない一作だった。
DROP/ドロップ (監督:クリストファー・ランドン 2025年アメリカ映画)

夫を亡くしたシングルマザー・バイオレットは、マッチングアプリで知り合ったヘンリーとの高級レストラン・デートへ。会話が弾む中、突然スマホに届く「DROP」メッセージ。「目の前の男を殺せ。さもなくば息子を殺す」……。監督は『ハッピー・デス・デイ』のクリストファー・ランドン、主演メーガン・フェイヒー、ヘンリー役ブランドン・スクレナー。
私は『ハッピー・デス・デイ』をとても面白く観たのでこの作品にも期待していたが、ちょっとノレなかった。前半は主人公バイオレットが一方的に翻弄され、右往左往する様子がじれったくてイライラしてしまったのだ。迷惑な通知を連発するアプリを、なぜ即座に止められないのか? 設定上完全にハッキングされているとはいえ、観客としては「早く電源落とせよ」とウンザリしてくる。レストランという密室で誰も信じられず誰も助けられない絶望感はあるものの、全体の流れに無理を感じた。
真犯人が明らかになった後に真相を喋りまくって説明するのも白けたし、あの動機でここまで七面倒くさいお膳立てをし、主人公を操る必要が本当にあるのか?と思わされる。ヘンリーの忍耐力には感心させられたが、あれだけ挙動不審の女相手にここまで付き合える男性、リアルにいるのだろうか?スマホ時代ならではの「身近すぎる恐怖」を狙った意欲作ではあるが、なにもかも中途半端で、もっと練られた脚本なら良かったのにと思わされた。
