『イタリア史10講』を読んだ

イタリア史10講 / 北村 暁夫

ヨーロッパ・地中海世界の要たるこの地には、古来じつに多様な人びとが行きかい、ゆたかな歴史を織り上げてきた。リソルジメント(統一運動)以降の近現代史はもちろん、古代・中世における諸勢力の複雑な興亡も明快に叙述。北と南、都市と農村といった地域性や、文化史にも着目し、その歩みをとらえる。

イタリア史についての一般教養レベルの知識を得たいという目論見により何冊か薄めの本を読んでいた。別に深堀したいとかオーソリティーになりたいとかいうわけではないので薄めの本なのである。というわけで今回読んだのは『イタリア史10講』。そして前回読んだイタリア史絡みの本4冊とこの本でイタリア史学習はとりあえず一旦終了する。

この『イタリア史10講』は280ページ余りのページ数に黎明期のローマから現代イタリアまでのイタリア史をみっちり高密度に詰め込んだ、これまで読んだ中で最もアカデミックで正攻法のイタリア史著書となる。イタリア史における歴史的重要項目や重要人物に事細かく目くばせし、著者の歴史解釈や主観を交えることなく、非常に学問的立場から事象についての言及が成される。

で、正直に言えばこれまで読んだイタリア史書籍の中で一番取っ付き難く読み難かったのだが、これはオレが歴史的重要項目や重要人物を羅列されるのが苦手な豆腐脳をしているからで、本書の記述が悪いせいでは全くない。オレはどうも「読みもの」としての面白さを求めてしまうので、なにがしかの「物語」がないと集中できないのである。

そうはいいつつ、本書において取り扱われるイタリア史では、その近現代史部分が最も面白く読むことができた。これはどうやら著者である北村暁夫氏がもともとイタリア近現代史教授である部分に理由があるのかもしれない。同時に、これまで読んだイタリア史の著作はイタリア近代史までの扱いだったために、現代史の記述が新鮮に感じたのだろう。特にマフィアの台頭についての記述が印象深く、この非合法組織がいかにイタリアを苦しめたのか如実に伝わってくる。しかもこのマフィア、ムッソリーニ時代には力を失っていたにもかかわらず、アメリカがイタリア占領時代に共産主義排除活動を行使させるため復活させたという恐ろしい事実まで記述されている。

というわけで、『パスタでたどるイタリア史』でイタリア史に興味を持ち、『物語イタリアの歴史 Ⅰ、Ⅱ』で東西ローマ分裂から近代までのイタリア史を学び、そして『はじめて読む人のローマ史1200年』でそれ以前の古代ローマ史に触れたのだが、最後に読んだこの『イタリア史10講』でもってローマ誕生から現代までを包括して俯瞰することができた。ローマ史を前後する変則的な読書方法となったが、「読みやすい」から「より複雑」になっていった点では理解度の追いつき方が段違いに感じたのは確かである。