最近配信・DVDで観た映画 / 『ヘッド・オブ・ステイト』『グランド・イリュージョン』『グランド・イリュージョン 見破られたトリック』『ザ・キラー ジョン・ウー/暗殺者の挽歌』

『ヘッド・オブ・ステイト』

ヘッド・オブ・ステイト(Amazon Prime Video) (監督:イルヤ・ナイシュラー 2025年アメリカ映画)

『ヘッド・オブ・ステイト』はイギリス首相とアメリカ大統領が手を取り合って凶悪なテロリストと戦う、型破りなアクションコメディだ。しかも、彼らが振るうのは政治的手腕ではなく、銃撃戦と肉弾戦!二つの大国のトップがまさかの脳筋バディを組むという、この設定自体がとてつもなくおバカで、それをイドリス・エルバジョン・シナが演じると聞けば、もう笑わずにはいられないだろう。

とはいえ、このイドリス・エルバ演じる英首相も、ジョン・シナ演じる米大統領も、なぜか妙に板について見えるから不思議である。彼らの存在は徹頭徹尾漫画的だが、むしろ現実の世界政治状況はもっとグロテスクであり、おまけに全く笑えない。そしてこういった現実があまりに陰惨で救いようがないからこそ、この荒唐無稽な設定が最高のエンターテイメントとして楽しめるのではないか。

このありえない設定を軽やかに成立させているのが、二人の大国首脳の助っ人となるMI6の有能なエージェント、ノエルの存在だ。彼女が相当に有能だからこそ、このハチャメチャな展開が破綻せずに進んでいく。演じるのは、インドのトップスターでありながら近年ハリウッドでの活躍が目覚ましいプリヤンカー・チョープラー・ジョナス。もともと演技派として知られていた彼女だが、本作でも派手なアクションを涼しい顔でこなし、その貫禄を存分に見せつけている。彼女の今後のさらなる活躍に、ますます期待が高まるばかりだ。

グランド・イリュージョン (監督:ルイ・レテリエ 2013年フランス・アメリカ映画)

映画『グランド・イリュージョン』は、4人のスーパーイリュージョニスト集団「フォー・ホースメン」が、華麗なマジックと同時に大規模な犯罪を実行していく犯罪サスペンスだ。2013年公開作品だが今まで観ておらず、つい最近視聴してその面白さにぶっとんでしまった。そもそもマジックは種も仕掛けもあるものだが、物語の中でどれほど荒唐無稽な犯罪が行われようと、それはマジックの手腕で種も仕掛けもあるんだから実行可能です、と開き直られているのでなんだか納得してしまうのである。こういったマジックの胡散臭さインチキ臭さを逆手に取った演出と物語展開が、映画それ自体をマジックそのもののように「見世物」として成立させているのだ。そこが面白い。

グランド・イリュージョン 見破られたトリック(監督:ジョン・M・チュウ 2016年アメリカ映画)

その続編となる『グランド・イリュージョン 見破られたトリック』は「フォー・ホースメン」の連中が強大な敵と対峙してしまうといった物語だ。見どころは中盤における「厳重監視施設内でのコンピューターチップ強奪作戦」で、観ていて「そうはならんだろ」と思いつつ、まあ天才マジシャン集団のやることだからアリなのかなあ、とついつい納得させられるのだ。1作目同様、この「なんとなく騙されている感覚」が楽しくて、やはり見事なエンタメ作品として完成していた。3作目も製作されるというからこれも楽しみである。

ザ・キラー ジョン・ウー/暗殺者の挽歌 (監督:ジョン・ウー 2024年アメリカ映画)

ジョン・ウー監督の『ザ・キラー ジョン・ウー/暗殺者の挽歌』は、1989年に公開された香港映画『狼/男たちの挽歌・最終章』のハリウッド版セルフリメイク作品となる。舞台をパリに変え、主人公を女性に変えているのがオリジナルとの違いだ。まあなにしろジョン・ウー印満開の作品で、鳩はこれでもかと飛び交い、スローモーションと二丁拳銃と血飛沫の躍るアクションが大盤振る舞いされ、そこに義理と人情、信頼と裏切りの物語がアラベスクとなって展開するのである。もはや様式美ここに極めりである。舞台と主人公の性別を変えることで物語はさらに冷徹で哀感を帯びたものとなり、実はジョン・ウー監督の中でもかなり面白く観ることができた。また主人公の女殺し屋ジーを演じていたのが『ゲーム・オブ・スローンズ』のナタリー・エマニュエルだったのも得点が高かった。