マーベル味噌っかす部隊出動!/映画『サンダーボルツ*』

サンダーボルツ* (監督:ジェイク・シュライアー 2025年アメリカ映画)

人類にまたしても・性懲りもなく危機が迫る!?しかしアベンジャーズは(いろいろあったので)もう来ない!?いやーこりゃたまらんわーどーにかなんないんっすか先輩!?と諦めかけていたところに現れたのは、マーベルコミックの悪役で結成された味噌っかす部隊サンダーボルツ*だったッ!?ええとあの、大丈夫なんっすか先輩!?(先輩とは)

出演はフローレンス・ピュー、デビッド・ハーバー、セバスチャン・スタン、ワイアット・ラッセル、オルガ・キュリレンコハナ・ジョン=カーメン、ジュリア・ルイス=ドレイファスなどなど、これまでMCU映画に出演していた皆さん。監督は映画『ペーパータウン』、TVシリーズ『BEEF ビーフ』のジェイク・シュライアー。脚本は『ブラック・ウィドウ』『マイティ・ソー バトルロイヤル』のエリック・ピアソンが担当しております。

ちなみにタイトルのケツについているアスタリスクってなんか意味があるの?と思ってたらこんな意味なんだそうで。

【STORY】一連の違法行為により解任されたCIA長官ヴァレンティーナは、証拠隠滅のためにエレーナ、USエージェント、ゴーストらならず者ヴィラン連中を秘密倉庫に派遣する。しかしヴァレンティーナの陰謀を察知したウィンター・ソルジャーことバッキー・バーンズが現場に急行、レッド・ガーディアンと合流したエレーナらを逮捕し、逆にヴァレンティーナ訴追の証人になるよう説得する。バッキーをリーダーとするグループ「サンダーボルツ*」を名乗ることにした彼らはヴァレンティーナの元に急行するが、そこにアベンジャーズを超える最強超人セントリーが現れ彼らの行く手を塞いだ。

さてMCU版『スーサイド・スクワッド』じゃないかとオレを含め一部で期待されていた『サンダーボルツ*』ですが、ちゃんと観てみると『スーサイド・スクワッド』とは全く違うコンセプトで構成されていて、さすがMCU、決して二番煎じにしない矜持があるなあと感心させられました。『スーサイド・スクワッド』は悪党で結成された消耗品部隊で、体制から”任務か死か”を無理矢理選択させられた面々ですが、『サンダーボルツ*』は悪党というよりは体制から持て余されていた味噌っかす集団で、アベンジャーズ無き世界に訪れた危機に「俺らがやらなきゃ誰がやるんだよ!」と自発的に立ち上がった集団なんですね。

”任務か死か”というニヒリスティックな状況の中で、果てしなくアブナイ連中が大暴れする『スーサイド・スクワッド』のシニカルな面白さと比べ、『サンダーボルツ*』の面々は体制と相容れないものを持ちながらも、そこには確固たる自我があり内面があり葛藤があり、より人間的な存在として描かれるわけなんですよ。つまりひたすらコミックタッチのスラップスティックだった『スーサイド・スクワッド』に対し、『サンダーボルツ*』はもっと真摯にできるだけリアルな人間像を目指そうとして作られているんです。

で、どっちが好きかってェと、オレはやっぱり『スーサイド・スクワッド』だなあ!『サンダーボルツ*』はなんかこう、MCU的なメンドクサイ生真面目さが漂っていて、今一つハッチャケきらないというか、ハッチャケるつもりなんかさらさらないというか、そういった部分で「思ってたのとちゃう」と感じてしまったなあ。”アベンジャーズを超える最強超人セントリー”といったいどう対峙するのか?という場面においても、力と根性でぶつかるみたいな脳筋な単純さ(つまりはおバカさ)じゃなくて、いわゆる”内省”の問題へと落とし込む部分でスカッしないんだよなあ。メンタルヘルスのお話にマーベルキャラいらないじゃん?と思えてしまうんだよ。まあこれは単なる好みの問題なんだろうけど、オレ的には今一つノレなかったなあ。

というか、セントリーがセントリーとして登場した時の”唐突さ”って、そこまで結構きちんと築いていた話の流れを一気に破壊する芸の無さだったぞ。「髪の毛染めました」ってなんなんだよいったい。そういった部分もツメが甘いというか分かってないなあと思ってしまった。ただし、あの皮肉なラストは最近のMCU映画の中ではピカイチの出来だったことは大いに認めてあげたい(上から目線)。