
ランサム 非公式作戦 (監督:キム・ソンフン 2023年韓国映画)
レバノンで拉致された韓国大使館員を救うため、身代金を携えてかの地に降り立った外交官が次々と危機に曝されるというポリティカルアクション。『神と共に』シリーズのハ・ジョンウとチュ・ジフンが再共演した作品で、実話をもとに構成されたものなのだとか。韓国人大使館員が外地で危険な目に遭う実話映画といえば『モガディシュ 脱出までの14日間』を思い出すが、同様に緊張感溢れ、さらにアクションマシマシな映画だった。併せてこの作品には主人公が現地で知り合った韓国人タクシー運転手とのバディムービーとしての面白さがあり、お約束ながら犬猿の仲だった二人が最終的に心強い仲間となってゆく様子がなかなかに熱くさせてくれる。主人公にとってこの救出作戦は出世目当ての打算塗れなものだったが、次第に任務にのめり込んでゆく展開も心が揺さぶられる。しかしこの作戦を危険なものにしたのは実は韓国政府内の覇権争いであり、銃を乱射するレバノン人盗賊の単純さよりもこちらのほうが相当にエグイ描かれ方をしていて闇の深さがじわじわと迫ってくるお話だった。
憑依 (監督:キム・ソンシク 2023年韓国映画)
インチキ祈祷師が除霊儀式を依頼され山奥の村に行ってみたらガチの呪いが掛けられていて大慌て!……とはなったんですが実はこのインチキ祈祷師、もともと祈祷師の家系で秘められた霊的パワーを持っていた!という韓国ホラー映画です。『憑依』なんてェタイトルのホラーなもんですから観る前はどんだけ阿鼻叫喚ゲロゲロホラーかと思ってたんですが、実際観てみると確かにホラーらしい暗く不気味な雰囲気はあるにせよ、後半に行くほどド派手なCGIがバチバチギラギラと画面を覆い、インチキ祈祷師と悪霊とが霊的パワーをぶつけ合うサイキックバトルアクション映画になっていて、なんかジャンプのコミックにありそうなお話でしたね。それもそのはず、韓国の人気ウェブトゥーンが原作らしく、そういったノリの作品だと思ってもらえればいいでしょう。思った以上にライトな作品でしたがこれはこれで楽しく観られました。
THE SIN 罪 (監督:ハン・ドンソク 2024年韓国映画)
山奥にある廃校で撮影を始めた映画スタッフに突然ゾンビが襲い掛かる!?というお話なもんだから一瞬『カメラを止めるな!』のリメイクか?と思ったがこちらは正攻法のゾンビパニック映画。キモとなるのはゾンビ発生の裏にある陰謀が隠されており、それがどういう経緯を経てこのような災いを生み出してしまったのかということなんですが、それがタイトルの『罪』に関わってくるという事なんですね。とはいえ実際のところその原因というか理由となる事柄が、ちょっと持って回ったような、こねくり回し過ぎたシナリオで語られており、それがまた思わせぶりな演出で見せられるもんですから、なんか観ていてスカッとしないんですよね。さらに後出しじゃんけんみたいにどんどん新設定が付け加えられ、製作者は二転三転する物語にしたかったんでしょうが、観ているこっちは段々どうでもよくなってくるんですよ。なにか斬新なことをやろうとして結果的に盛大にコケた、そういう映画のようにオレには思えましたね。
甘い人生 (監督:キム・ジウン 2004年韓国映画)
裏社会の男がボスから愛人の見張りを命じられるが、その浮気を見逃したばかりに半殺しの目に遭い、血塗れの復讐を開始するというお話。『G.I.ジョー』『ターミネーター:新起動/ジェニシス』のイ・ビョンホン主演、監督は『箪笥』『ラストスタンド』のキム・ジウンで、2024年4Kレストア版での視聴。イ・ビョンホンはなかなかの熱演を見せていたがシナリオがグダグダだった。そもそも組織でも有能だった男を、女に手を出したわけでも組織を裏切ったわけでもないのに拷問の果てに殺そうとするボスの思考が支離滅裂。外道の癖に繊細だな!女も女でギャングの情婦のわりに妙に清純無垢な描かれ方をしているのがちぐはぐだ。クライマックスでは殺戮の嵐が吹き荒れるが、ちっちぇえ理由で随分コトを大きくするよなあと半ば呆れさせられる始末。おまけにどうにも感傷的な描写がダラダラと続き、いやこれはノワールじゃなくてイ・ビョンホンのアイドル映画だったのだなと考えを改めた。実のところどれだけ滅私奉公しても報われず虫けらのように扱われる社会への怨嗟がこの物語にはあったりするのかな。



