ジョン・シナ主演のアクションコメディ『ザ・ボディガード ローグ・ミッション』を観た

ザ・ボディガード ローグ・ミッション (監督:ピエール・モレル 2022年アメリカ映画)

独裁国家大統領へのインタビューを許された女性ジャーナリストを警護するため南米の小国にやってきたボディガードが、突然のクーデター勃発にジャーナリストと大統領を連れジャングルの中を逃げ惑う羽目に!?というジョン・シナ主演のアクションコメディ作品です。ジョン・シナ好きのオレとしてはこれを見逃す手はありません。共演は『プロミシング・ヤング・ウーマン』のアリソン・ブリー、『マークスマン』のフアン・パブロ・ラバ、『トゥルー・ロマンス』のクリスチャン・スレイター。監督は『96時間』のピエール・モレル。

【STORY】元特殊部隊員のメイソンは、引退後の生活に刺激が足りず、ジャーナリストのクレアの護衛任務を引き受け、南米の独裁国家へ向かう。 しかし、クレアは独裁者のインタビュー中にクーデターに巻き込まれ、メイソンとともにジャングルへ逃げ込むハメに。 自然の脅威や追手をかわしながら、次第にバディのような関係になっていく二人。 命がけの逃走劇が展開される中、二人は過酷なサバイバルの中で心の壁を越えていく…!

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筋肉男ジョン・シナがバッタバッタと敵を倒しまくる単純なアクション作かと思っていたら 、いい具合にストーリーのひねりが効いた見どころのある作品でした。ただし若干ユルい部分、詰めの甘い部分も多くて手放しで褒められず、ちょっと惜しい作品でもあります。どちらにしろネトフリあたりにありがちな量産アクション作品と比べたら全然よく出来ていて、結局最後まで飽きずに観ることができました。

まずジョン・シナ演じるボディーガード、メイソンの設定がいいんですよね。メイソンは特殊部隊員でしたが、南米の小国の独裁者暗殺作戦中に反撃に遭い、全ての仲間を失ったという過去を持ちます。そしてボディーガードとして赴いた国で会うことになったのがこの独裁者だった、というのが人生の皮肉を感じさせていいんですよ。メイソンは過去の憎しみを抑えながら独裁者と対峙することになってしまうんですね。

一方その独裁者がどれだけ残虐非道の男かと思ったら、これが妙に陽気で明るくて怖いもの知らずの優男、どこが独裁者なの?裏の顔を持っているの?と見ていたら、物語の中でイメージが二転三転し、国際社会をしたたかに渡り歩く切れ者であることが分かってきます。この”最初のイメージを突き崩してゆく”ストーリーテリングが巧いなと感じました。

一方、女性ジャーナリストであるクレアの性格設定がちぐはぐで前半上手く機能していません。過去にスキャンダルがあったという過去設定は不必要に感じたし、突然のお色気展開も唐突過ぎてシラケさせます。しかし後半からはコメディ担当として溌溂とした顔を見せ、一気に好感度を上げてゆきます。演じるアリソン・ブリーは十分に存在感を醸し出していましたが、監督の演出が拙かったんじゃないかと思いますね。

ストーリーの流れにしても、「独裁者インタビューに行ったら突然のクーデター」「主人公と独裁者との過去の確執」「敵と味方がコロコロ入れ替わる予断を許さぬ展開」「予想を裏切る独裁者キャラクター」など、全体的なアウトラインは非常によくできていて、これをきちんと撮っていたら相当いい映画になったと思うんです。しかし演出それ自体にむらがありすぎるばかりに、なんだか集中力に欠ける作品になってしまっていて、そこが実に残念なんですよね。ただジョン・シナをはじめとする主要キャラがみんないい味を出していて、オレは嫌いじゃないですねこの映画。それにしても『ザ・ボディガード ローグ・ミッション』って日本版タイトル、ちょっとバッタモン臭すぎません?