ハウス・オブ・ザ・ドラゴン シーズン2 (監督:クレア・キルナー、ジータ・パテル 2024年アメリカ製作)

ジョージ・R・R・マーティン原作によるドラマ『ハウス・オブ・ドラゴン』は『ゲーム・オブ・スローンズ』の前日譚となる物語である。『GoT』の約200年前、ウェスタロス七王国を支配するターガリエン王朝の後継者を巡り、同族同士が血で血を洗う内戦を繰り広げるさまを描いたものだ。物語は12世紀イングランド王国における「無政府時代」と呼ばれる後継者争いを題材にしたものなのらしい。
シーズン1では後継者争いまでの下地がじっくりと説明され、ある悲劇的な死によって遂に戦いが勃発するまでが描かれていた。そしてこのシーズン2ではレイニラ・ターガリエンを支持する「黒装派」とエイゴン・ターガリエン2世を支持する「翠装派」とが激しい戦乱に引きずり込まれてゆく様が描かれることになる。夥しい数の名家が入り乱れて群像劇を成す『GoT』と違い、この『HotD』は二つの派閥の対立というストレートな物語構造となっており、分かり易くカタルシスも大きい。
シーズン1から顕著だったが、戦いの趨勢を決定する多数のドラゴンが最初っから惜しみなく登場し暴れまわってくれるのがこの『HotD』の大きな魅力だ。戦乱の勃発するこのシーズン2ではさらにドラゴンたちの暴れまわる姿が見ることができ、邪悪な姿で大空を飛び交い紅蓮の炎で全てを焼き尽くす姿を見るのは楽しい事この上ない。
そしてそのドラゴンも、あまりの強力さから最終兵器扱いになっている部分が興味深い。単純にドラゴン合戦だけで完結する戦いではないのだ。なにしろひとたび戦いにドラゴンが導入されると凄まじい破壊と死だけが残ることになり、この応酬を続けてしまうと国土が灰燼に帰してしまうのだ。つまり最終兵器のドラゴンは抑止力としても働くことになり、これをどう戦略的に使うのかが戦いの基本となるのだ。
黒装派・翠装派はお互いのドラゴンの数と威力、さらに騎乗する者を把握しており、それをどう戦いに配置するか・あるいは相手が配置しているかで戦術が変わってくる。翠装派の最強ドラゴン”ヴァーガー”への対策も重要だ。そしてドラゴンや乗り手のロストが起こった時にどうそれを補充するのかが今回の物語の鍵ともなる。ドラゴンにせよ乗り手にせよ簡単に補充できるもの決してないのだ。こういった、ドラゴンが鍵となる戦争においてなにが重要かを描いている部分が非常に面白い。
人間関係は相変わらずどんよりドロドロしていて安定の陰鬱さだ。長い銀髪を振り乱し黒装束を纏ったターガリエン家の男たちが虚無的かつ中二病的な笑みを浮かべ、望まない争いに苦悶するターガリエン家の女たちが断腸の決断を強いられる。騎士たちが剣をかざし死と破壊が横溢し炎と煙が大地を覆う。その中で語られる未来の伝説”炎と氷の歌”とは200年後の『GoT』の戦いのことに他ならない。いよいよ佳境へと突入するシーズン3に目が離せない。
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