
ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪 (シーズン2) (Amazon Prime Video) (監督:ルイーズ・フーパー 2024年アメリカ製作)

Amazon Prime Videoで配信中のドラマ『ロード・オ ブ・ザ・リング: 力の指輪』は『ロード・オ ブ・ザ・リング』『ホビット』から遡ること数千年前の”中つ国第2期”を舞台にした物語である。冥王サウロンが中つ国を支配する”力の指輪”を鋳造し、それを巡る大いなる戦いが巻き起こるのがこの時代なのだ。『LOTR』や『ホビット』のような確固とした原作があるものではないが、トールキンが残した『シルマリルの物語』や『終わらざりし物語』の草稿を元に再構成した物語となっている。
このシーズン2ではいよいよ”力の指輪”が鋳造され、伝説の戦いとなる「エレギオンの戦い」が勃発することになる。この「エレギオンの戦い」はエピソード7で描かれることになるが、これがもう「そうだよこれが観たかったんだよ!」という凄まじい内容だった。冥王サウロンが遂にその正体を現して邪悪な術を使い、映画版を彷彿させる大陣営によるぶつかり合いが巻き起こり、『ゲーム・オブ・スローンズ』並の残虐鬱展開が目白押しで、シリーズでも最高の盛り上がりを見せていた。
とはいえこのドラマ、ビジュアルは相当に美しく力も入っているが、複数種族の物語が並行して語られるので展開がまどろっこしく起伏に欠けるので観続けるのは忍耐が必要かもしれない。特にシーズン1は後々への伏線なのであろう思わせぶりな描写で終始することになり、どうにももやもやしてしまう部分が多かった。ハーフフット族や人間族のドラマは退屈で、それはこのシーズン2でも同様であり、シーズン後半では意味を持っていくのだろうが、そういった部分で忍耐を要求されてしまうのだ。予定では全5シーズンが製作されるらしいが、もうちょっとピッチ上げてメリハリあるドラマにならないかなあ。
ウルフズ (AppleTV+映画) (監督:ジョン・ワッツ 2024年アメリカ映画)

ジョージ・クルーニーとブラッド・ピットが共演し、裏社会のもみ消し屋=フィクサーを演じるちょっぴりコミカルなクライムサスペンス。もともと映画館での公開を予定されながらキャンセルとなり、配信へと切り替えられたことでも話題になった作品だ。フィクサーのジャックはある死体の揉み消しを依頼されるが、現場で別のフィクサー、ニックと鉢合わせしてしまう。ここから始まるとんでもないドタバタが物語の主軸だ。事態は次から次へと脱線を見せてもうハチャメチャ、この状況を収拾すべく波長の合わないジャックとニックが渋々共闘し、凸凹バディストーリーとして展開してゆくのだ。なによりジョージ・クルーニーとブラッド・ピットが並び立って喧々諤々と言い合いしている様がもう既に可笑しい。この二人の魅力に牽引されて非常に楽しく充実した作品となっており、いったいなぜ劇場公開中止なのかどうにも理解できない。それと「ブリーフ一枚で逃げ回る男との延々と続く追跡劇」は映画史に残る訳の分からない名シーンだったのではないだろうか。劇場で堪能したかったなあ!
レベル・リッジ (Netflix映画) (監督:ジェレミー・ソルニエ 2024年アメリカ映画)

小さな田舎町に立ち寄ったある男が腐敗し切った警察に拘束され蹂躙されるが、その非道に耐えかねた男は遂に反撃に出る。実はこの男テリー、なんと元海兵隊員だったのだ!という「怒らせたヤツは実は特殊戦闘員」ジャンルのサスペンスアクション。とはいえこの作品、「怒らせたヤツは」ジャンルによくある超絶スキルを持ったエージェントが顔色一つ変えずに電光石火で敵を屠ってゆく、というものではない。テリーは途中まで忍耐に忍耐を重ね、一般市民としてできるだけ穏便に、法を犯すことなく事態を収拾させようとするのだ。それに対し腐敗警察署員たちは蛇の如き陰湿さと邪悪さを見せ、とことんテリーを追い詰めた挙句のテリー大爆発!という溜めの大きさが強烈なカタルシスを導き出す。とはいえテリーの決して人を殺めない鉄則が物語を締まりのあるものにしている。ここでの「警察はなぜどのようにして腐敗してしまったのか」の説明が実にリアリスティックで説得力があり、一級のサスペンスとしての冴えを感じさせた。テリーを演じたアーロン・ピエール、テリーに協力する裁判所職員を演じたアナソフィア・ロブ、さらに憎々しい警察署長を演じたドン・ジョンソンと、誰もが強い存在感を醸し出していた。骨太な傑作だ。