『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:Volume 3』はGoGシリーズの苦手なオレでも面白かった。

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:Volume 3 (監督:ジェームズ・ガン 2023年アメリカ映画)

【物語】アベンジャーズの一員としてサノスを倒し、世界を救ったものの、最愛の恋人ガモーラを失ったショックから立ち直れないスター・ロードことピーター・クイルと、ガーディアンズの仲間たち。そんな彼らの前に、銀河を完璧な世界に作り変えようとする恐るべき敵が現れ、ロケットが命を失う危機にさらされる。固い絆で結ばれた大切な仲間の命を救おうとするガーディアンズだったが、ロケットの命を救う鍵は、ロケット自身の知られざる過去にあった。

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー VOLUME 3 : 作品情報 - 映画.com

オレはどうも『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズが苦手で、1作目も2作目もそれほど面白くなかったのだが、相当に人気の高いシリーズでもあり、にもかかわらずなぜオレはこのシリーズにノレないのだろう?とこの3作目を観ながら考えていたのである(面白くないとは言いながら一応観ることは観るのである)。

それで分かったのはオレにとってこの映画に登場するあらゆるデザインが好きになれない、美しく感じないということのようなのだ。それはキャラデザイン、衣装デザイン、その他大道具・小道具・背景となる世界のデザインまで、胸にグッとくるデザインが何もなく、どれも「こんなもんだろ」と雑に決定してしまっているもののように感じてしまうのだ。

それはオレがこのシリーズをSF映画だと思ったからなのだが、SF映画というのは『2001年宇宙の旅』の昔から、『エイリアン』でも『ブレードランナー』でも『スターウォーズ』でも、画面に登場するあらゆる意匠の美しさが世界観を決定し作品を牽引する大きな要因であると考えているからだ。

翻って『GoG』のデザインは、例えば異星人のデザイン一つにとっても「頭部のメイク・被り物の違い」だけである。顔の色と若干のパーツ違いの頭部をしているだけのものばかりで、その衣装も服飾専門学校1年生が描いたラフスケッチ以上のセンスを感じない。結局その他のデザイン全般に渡っても、こういった「美意識の薄さ、センスの無さ」を垣間見てしまう。

それとこれは好みの問題かもしれないが、洋楽好きのオレなのにこの映画で頻繁に使用されるロックミュージックがどれも全く刺さらないというのも驚異で、それも「ロック流せばかっこいいから流しているだけ」と思ってしまうような、必然性とか場面との適合性を感じないものだったりする。結局こういった「ガサツともいえる大雑把さ」がオレにとって苦手な要因だったのではないかと思われたのだ。

とまあここまで否定しておいてなんなのだが、この『Volume3』、非常に面白かった。この3作目でやっとこのシリーズの真価を理解できた。物語の中心となるのはロケットの出生の秘密であり、ロケットという存在のその本質にあるものを描くことであり、その苦悩に満ちた過去を現在においてどのように昇華することができるのかがテーマとなっているのだ。同時に、そんなロケットを仲間たちがどれだけ愛し尊重し、お互いが深い感情で結ばれているのかが描かれる。その熱いチームスピリットの様は1作目からも描かれていたのだろうが、今作はそれが格別だったと思う。そこがよかった。