最近ダラ観したDVDとかブルーレイとかサブスクとか

ヘルドッグス (監督:原田眞人 2022年日本映画)

映画『ヘルドッグス』観たがびっくりするほど面白かった。役者がいいロケハンがいい、セコさもあざとさも過度な情緒性も無い、シナリオは密で物語は濃厚かつクール、何より映画の従来的なヤクザ像を覆すスマートな描写が見惚れる程に素晴らしい。邦画ナメてたが監督スタッフ原作者全てにおいて最高の仕事をしている目の覚めるような映画だった。観ていて最初はハリウッド映画や韓国映画と比べていたが、途中から紛う事なく邦画の秀逸なる完成形の一つだと感じた。

ディパーテッド (監督:マーティン・スコセッシ 2006年アメリカ映画)

スコセッシ監督の『ディパーテッド』、実は初めて観たのだがいやこれ確かに面白い。潜入捜査物だからもっと重苦しい映画かと思ったら150分をサクサクッと軽やかに見せてゆく部分に逆に驚いた。思いっきり娯楽作として出来てるんだよね。これ、全編に渡り延々と流れ続けるロック&ポップソングの心地良さで観ている者の感覚を陶酔させてるからなんだろうな。それにしても凄い配役だな。特にデカプとニコルソンは完璧。

カジノ (監督:マーティン・スコセッシ 1995年アメリカ映画)

スコセッシ監督の『カジノ』、これも初めて観た。物語の殆どは性悪妻との生臭い諍いが中心だが、なぜか見入ってしまう。全体的にダラダラしつつも嫌な緊張感を帯びた展開が延々と続き、最後の最後で凄まじいカタルシスを見せるのは、もはやスコセッシ節とでも言うべき御家芸だな。この陶酔性も途切れなく続く音楽の賜物だろう。デニーロのよさは安定だがジョー・ペシのセコイ小悪党ぶりやシャロン・ストーンの蓮っ葉な演技も相当よかったな。

レーニング・デイ (監督:アントワン・フークア 2001年アメリカ映画)

イコライザー』シリーズのデンゼル・ワシントン&アントワン・フークワ監督作品だったので観てみた。現場の汚い仕事を知り尽くしたタフ&ストロングなベテラン先輩刑事が「正義が!道理が!常識が!」とピーチクパーチクさえずる糞ウザいひよっこ新人ちゃんをスパルタで現場に慣らす話なんだろうな、と思って観ていたが、実は本当に駄目な先輩でしたというお話で、いやそれだと意外性も何もなくて全然おもろないやんか。

インファナル・アフェア 無間道(監督 アンドリュー・ラウアラン・マック 2002年香港映画)

ディパーテッド』の元ネタということで「インファナル・アフェア三部作」を観てみることにした。まずは1作目『インファナル・アフェア 無間道』だが、なにしろアンディ・ラウトニー・レオンアンソニー・ウォンという鉄壁の布陣とも呼ぶべき出演者の豪華さにクラクラしてしまった。なんでこのメンツが共演している映画を今まで見逃していたのか!?さらに監督の一人であるアンドリュー・ラウはドニーさん主演映画『レジェンド・オブ・フィスト 怒りの鉄拳』の監督ではないか。さて物語は先に観ていた『ディパーテッド』と同じ流れながら、こちらオリジナル版はより無常感を漂わせさらに独特の格調高さと美しさ、さらには非情なる哀感を感じる作品だった。いわば滅びの美学とも言うべきものか。主演の3人は男の色気たっぷり、あたかも生き急ぐかのような彼らの生き様に陶然とするものを覚えた。

インファナル・アフェア 無間序曲 (監督 アンドリュー・ラウアラン・マック 2003年香港映画)

さて続編となる『インファナル・アフェア 無間序曲』であるが続編と言いつつ物語は実は前日譚となっている。すなわち1作目であんなことやこんなことになってしまった登場人物たちが再び元気な姿で登場するわけなのだが、ただしアンディ・ラウトニー・レオンの役柄に関しては「彼らの若かりし頃」として年若い別の俳優が演じることになり、この2人の俳優は出演していない。物語は1作目の物語に辿り着くまでのドロドロの因縁とドロドロの人間模様が語られ、さらには1作目以上に非情極まりない香港闇社会の暗部が描かれ、想像以上に陰惨かつ凄みを増した作品となっていた。

インファナル・アフェア 終極無間 (監督 アンドリュー・ラウアラン・マック 2003年香港映画)

最終章となる第3部はアンディ・ラウトニー・レオンが再び登場し、1作目の背景に何があったのか、さらに1作目の後に何が起こったのかが描かれる。時間軸は錯綜し同様に主人公の心理も錯綜し、まさに1作目タイトル「無間道」の意味する「無限の苦しみ」を描くことになるのだ。作品的には1作目の追補編的な内容ではあるが、「インファナル・アフェア」の世界をさらに広げ膨らませることに成功した最終章だろう。ただちょっと「睡眠薬作戦」は無理があり過ぎたと思うぞ。