三鷹の森ジブリ美術館企画展示『未来少年コナン』展にオレはもうメロメロだったッ!?

昨日の「三鷹の森ジブリ美術館に行ってきた」の続きとなります。

さて、オレをここまで燃え上がらせた『未来少年コナン』というのはなにか?それは1978年にNHKで毎週火曜日19時30分から30分放送枠で放送された全26話のTVアニメ作品で、宮崎駿の実質的な監督デビュー作品なんですよ。内容は人類滅亡後の世界を舞台にした少年少女たちの冒険を描くSFドラマなんですが、これがもう、最高に素晴らしかった。

当時高校生になったばかりのオレはこの作品が放送されるのを毎週毎週楽しみにしていました。とはいえ、当時は「宮崎駿」なんて名前も知らなかったし、世間でもほとんど認知されていなかったでしょう。製作の日本アニメーション自体はコンスタントに作品を送り出していましたが、ここから将来の日本のアニメ界のみならず、日本の映画界を背負って立つ人物が現れるなんてまだ誰も思っていなかった時期の話なんです。

未来少年コナン』がどれだけ優れた素晴らしい作品だったのか、それを書こうとしたら今回のブログ記事が書き終わらなくなってしまうほどの長文になりそうなのでとりあえず割愛します。しかし一言だけ言うなら、『未来少年コナン』にはその後の宮崎駿の全てが詰まっていた、と言っても過言ではないと思うんです。

そこには『ルパン3世』の小気味よいアニメアクションがあり、『ナウシカ』の絶望的に荒廃した未来があり、『ラピュタ』における少年少女の冒険があります。『もののけ姫』で描かれる強烈な自然回帰願望、『魔女の宅急便』のヨーロッパ風な街並みへの憧れもここには存在します。『紅の豚』や『風立ちぬ』における飛行機ヘの熱狂は、ギガントという名の禍々しい飛行最終兵器で既に再現されています。

また逆に、ドラマ形式だからこそ丹念に描かれる心理描写と、それにより登場人物たちの精神的変遷を驚くほど鮮烈に描き切っているという部分では、どの宮崎アニメ映画作品にも見られない特色だという事ができると思います。特に物語において悪役として登場したインダストリア行政局次長モンスリーが、物語ラストにおいて心理的転向を見せる場面は、子供心に「こういった形のドラマ展開があり得るのか!」と驚愕したのを覚えています。そういった点において、宮崎駿監督作品の最高傑作はなにか?と問われたら、オレは『未来少年コナン』である、と答える事でしょう。

さて今回の企画展では、『未来少年コナン』の全話紹介と併せ、イメージボード、キャラクター設定、設定資料、絵コンテ、原画といった、『未来少年コナン』のありとあらゆる構成要素が展示されます。しかもそれだけではない!なんとバラクーダ号、フライングマシン、ロボノイドの模型、さらにはのこされ島、インダストリア三角塔、ハイハーバーのジオラマが展示されているんです!放送終了から44年、齢60歳にしてこんな展示を観ることができたなんてもう夢のようです!

それだけでも凄いんですが、今回さらにオレの心をとろかせまくったのは、『未来少年コナン』全26話中の最高傑作回の一つと言っていい、第8話「逃亡」の絵コンテ全編が読める!ということなんですね!そう、ガンボートからの砲撃により海底に沈められたコナンを、ラナが必死の努力で救出しようとするあの神回です!読みながらあの回の感動が蘇り、会場で涙ボロボロ流していた変なおっさんはこのオレです!

惜しむらくは作品における主要な模型・ジオラマ展示はありましたが、やっぱりギガントの模型が観たかったなあ!とはいえなにしろ大満足、展示ラストにはバックライトに浮かび上がるラナちゃんのお姿まで拝めて、「ああ、あの頃オレの真のヒロインはラナちゃんだったなあ……」としみじみ思い出しながら展示会場を後にしました。