ゴールデンカムイ(30)/野田サトル
『ゴールデンカムイ』もいよいよラストスパート、艦砲射撃が杉元らを襲い、鶴見将校率いる第七師団は死の咢となって迫りくる。全ての登場人物が己の死に場所を探し、あるいは死に場所を見つけ、あるいは死に抗わんと咆哮を上げる。それは同時に、彼ら全ての運命が、この最後の戦いに集約しているということなのだ。まさにクライマックスと呼ぶに相応しい凄まじい展開に「遂にここまで来てしまったのか」という感無量の思いすらある。アイヌの黄金探しという血塗られた探求の果てに待つものは何なのか、次巻31巻で完結!発売日は7月19日(火)になります。
カムヤライド(7)/久正人
遂に明かされるカムヤライドの謎!お、おおう、なんとそれはエヴァンゲリオン展開だった!?結構物語が陰惨な方向にシフトしているけどこれでいいのかな。まあしかし久正人はやるときはやる男だからこれは固唾を飲んで見守るべきなんだろうな。
緑の歌 - 収集群風 - (上)(下)/高妍
グラフィックの端麗さと、作者が台湾人だという事で興味が沸き読んでみた。物語は日本の文化に憧れる台湾の少年少女とその恋の行方を描くもの。その日本の文化と言うのが村上春樹や細野晴臣あたりで、良く知ってるなあと思うのと同時に、良くも悪くもとことん若者のオハナシだよなあ、という面映ゆさと、主人公少女が終始イジイジメソメソしていて読んでて「じゃかましかー!」とイラついたのと、オレ細野晴臣全然興味ないんだよなあ、という部分で、なんかこう物語に入っていけませんでした。
異世界の色彩 ラヴクラフト傑作集/田辺 剛
田辺剛のラヴクラフトコミカライズ作はオレの中で安定の良作であり、この作品も非常に素晴らしかった。物語自体は映画化作品で知っていたが、やはりラヴクラフト原作の草木一本生えない荒涼とした光景を描き出き出すのは田辺の方が遥かに上だと感じた。モノクロなのにも関わらず異世界の「色彩」が見えてきそうなグラフィックが素晴らしい。絶望を結晶化したかのような硬質で黒々とした田辺のグラフィックは、もはやラヴクラフトを描くのはこの人しかいないすら思わせる。
魔犬 ラヴクラフト傑作集/田辺 剛
同じく田辺剛のラヴクラフトコミカライズ作品、こちらは短編集となる。収録作は「神殿」「魔犬」「名もなき都」の3作。「神殿」はWW2のドイツ潜水艦を舞台にしており、この切り口があったか、と驚かされた。そしてあの不気味極まりないラスト!「魔犬」も名状し難い「呪い」についての物語。「名もなき都」はハワード風の作品であり、「この世界と紙一重の場所にあるおぞましい場所」の描写は気が遠くなりそうになる。