カピバラ写真集『かぴばら』でまたもや和む

■かぴばら/岩合光昭

かぴばら (IWAGO'S BOOK 5)

おっとり癒し系といわれるカピバラは、トリが頭や背中に乗っても素知らぬ顔。パラグアイカイマンとも仲良しです。鼻まで水に浸かって泳いだり、水草をムシャムシャ食べたり、泥んこになったり、親子で寄り添って眠ったり…… ところが、天敵ジャガーの存在に気がつき大慌てで逃げる姿は、野生のカピバラならではの瞬間です。本書は、動物写真家・岩合光昭が2015年から2017年にかけてブラジルのパンタナールで撮影した、大自然に生きるカピバラの魅力が満載の写真集です。

オレはカピバラ好きである。どのくらい好きかというと北にカピバラありと聞けば行ってモフモフし、南にカピバラあり聞けば行って一緒に寝転がり、東にカピバラありと聞けば行って山盛りの笹を与え、西にカピバラありと聞けば行って共に温泉に入る、というぐらいカピバラ好きである。

これまでもカピバラを求めあちこちの動物園に行き、写真を撮ったりカピバラグッズを買い集めたりした。それは至福の時間である。オレの人生の幸せの10ヶ条なるものを作ったとしたら、その中の一個にはきっと「カピと戯れる」という条項が加えられるはずなのだ。

そんなカピバラの写真集が新たに発売されるという。カピバラの写真集。アイドルだのグラドルだのの写真集にはこれっぽっちも興味の無いオレではあるが(鈴木咲ちゃん以外)、カピバラの写真集と聞けばこれはもう飲んでいたコーヒーカップをぶっ倒し灰皿の吸い殻をもばら撒く勢いで逆上しまくり「買うの!買うの!買うの!」と幼児退行した口調でアマゾンのお買い物ボタンを連打しまくることやぶさかではない。

今回のカピバラ写真集は撮影者が岩合光昭という方なのらしい。カピバラ写真集と言えば日本にも世界にも誇るカピバラコレクター、渡辺克仁氏の名を思い浮かべるが、この岩合氏という方は世界を股にかけカピバラのみならず様々な動物写真を撮り続けるカメラマンの方なのらしい。

そしてこの写真集『かぴばら』は、野生のカピバラに密着して撮られた写真集となるのだ。カピバラの生息地と言えば中南米だが、この写真集ではブラジルのパンタナール大湿原をその撮影ポイントとして撮影されたカピバラの姿が写し出されているのだ。

これら野生のカピバラの姿は、これまで日本の動物園で見てきたのんびりのほほんとした癒し系動物とはまた別の、雄々しく力強いカピバラの姿を見ることができるのがなにより特徴となるだろう。まあ、野生でもやっぱりのんびりのほほんとした様子ではあるのだが、外敵の肉食生物がいたり、気候が刻々と移り変わって行ったり、食べ物となる植物の植物相が異なっていたり、当然居住スペースが広大であったりと、まさしく「野生」ならではの生の緊張感とその生きる自然の雄大さとを堪能する事が出来る。当たり前の話だが、これが本当のカピバラの姿なのだ。

そういった部分で、動物園だけでは決して知り得ないカピバラの姿を堪能することができる、優れた写真集であるのは間違いない。カピバラに興味のある方は是非お手に取っていただきたい。

かぴばら (IWAGO'S BOOK 5)

かぴばら (IWAGO'S BOOK 5)