タミル語版スィンガムの続編を観たぜ!ガオーーッ!!(血管ブチキレ気味に)

■Main Hoon Suruya Singham 2 (監督:Hari 2013年インド映画)


あのスィンガムが帰ってきた!?『Singam II』は1作目と同じハリ監督、スーリヤ主演。ヒロインは前作に引き続きアヌシュカ・シェッティも出演していますが、今作ではハンシカー・モートワーニーがもう一人のヒロインとして出演しています。実は自分が観たのは『Main Hoon Suruya Singham 2』というヒンディー語吹き替え版だったのですが、『Singam II』とは若干編集が違うという未確認情報もあり。そしてこの2作目は、リメイク作続編である『Singham Returns』と全く違うストーリーとなっており、『Singham Returns』を観た方も目を離せない展開となっておりますよ。
《物語》前作でチェンナイ・マフィアのドン、マイルワーガナムを完膚なきまでに叩きのめしたスィンガムの新たな任務は覆面捜査官として極秘捜査にあたることだった。故郷の高校のNCC(国立士官候補生隊)教官に素性を変え捜査を続けるスィンガムだったが、女学生サティヤ(ハンシカー・モートワーニー)が彼を見染め、彼につきまとい始めるものの、婚約者カーヴィヤ(アヌシュカ・シェッティ)がいるスィンガムは相手にしなかった。しかしサティヤの叔父タンガラージは表向きは貿易商だったが密輸を専門と知るマフィアのボスだった。捜査の中で密輸マフィアのバーイ、国際麻薬組織のダニーの名が浮かび上がり、スィンガムはタンガラージともども一網打尽にするべく大作戦を展開する。
悪党が次々に登場し、その悪党をスィンガムが次々に叩きのめしてゆくという『Singam』2作目です。悪党が多い分物語は若干複雑になりますが、その分アクションも増え、もうお腹一杯で「ボクもう食べれないよう」と言いたくなるほどにてんこ盛りの内容になっているんですよ。今回もなにしろスィンガムが強い。強すぎ。当たるを幸いなぎ倒し、その手数の多さにどんな敵も血反吐を吐いて地面に倒されます。そして手数だけじゃなく口数も多い。いつもビックンビックン青筋を立て、白目が全部見えるほど目ん玉をひん剥き、そして物凄い早口でわあわあわあわと俺が正義だ!とかお前らぶちのめす!とかまくしたてるんですよ。今作ではアクションだけではなく延々繰り出されるこのスィンガムの怒号で頭がジンジンしてきます。
そしてこの2作目ではスィンガムのパワーがさらに倍増しています。スィンガム自身は1作目と同じぐらいだとしても、今作では警察組織全体を使い、徹底的に悪を叩いてゆくのです。このスィンガムの正義の前ではルールなど存在しません。警察官たちは問答無用で悪党を撃ち殺し、暴徒たちは徹底的にリンチされ、平気で証拠をねつ造し、悪党は獄中にいてさえ叩きのめされます。司法だの民主主義だのではなく、悪は絶対許さないし、どんなことをしてでも叩き潰す!のがスィンガム映画なのです。悪い奴は成敗されて当然であり、そして観ている者も、その圧倒的な正義に溜飲を下げてしまうのです。
今作でも怒涛の如き展開を見せる『Singham 2』ですが、その展開の早さに加速度を与えているのが、とんでもない数のカット割りです。もうホント、「お前はマイケル・ベイか」と言いたくなるようなチカチカしまくりのカット割りとめまぐるしいアングル変化を見せているんですよ。それだけではなく、相当な場面で映像の早回しを使っています。これは場面展開や移動、物語の枝葉のような些細な場面を、説明を早くするために早回ししているようなんですね。この膨大なカット割りと早回しにより、ただでさえ濃厚な物語がさらにギュッと圧縮され、一種異様なスピード感が物語に加味されるんですが、それを2時間半の長尺でずっとやっているものですから、観ていてもう頭がクラクラしてくるんです。
こういった展開の高速さは『Singam 2』に限らず多くのテルグ・アクションでも実行されているのかもしれません(多くを観ていないので断言できませんが)。テルグ映画はそのエンターテインメント性が抜きんでていますが、こういった形の進化の仕方はハリウッドあたりと比べても映画としてとても物凄いことをやってるんじゃないのかなあ。