甲冑着た旧日本軍の改造人間が襲ってくる!〜映画『デッド・マイン / Dead Mine』

■デッド・マイン / Dead Mine (監督:スティーヴン・シェイル 2012年インドネシア映画)


旧日本軍が埋めたとされる財宝を探しにスマトラ島へやってきたトレジャーハンターの皆さんが、山賊の攻撃により暗くていやらしい洞窟に閉じ込められ、辿り着いたのが打ち捨てられた旧日本軍の地下秘密基地!そしてそこで軍のおぞましい実験により生み出された化け物連中に襲われちゃう!というインドネシア製のホラー映画です。配役はインドネシア俳優だけではなく欧米俳優も参加していますが、日本からはなんと水野美紀さんも出演されて主役張っておりましたよ(どうでもいいことですが「みずのみき」って入力したらオレのPC、「水飲み器」って変換しやがりましたよ…)。日本未公開作品なので輸入Blu-rayで視聴しました。

この『デッド・マイン』、「洞窟に閉じ込められた連中が化け物に追い掛け回されてヒイヒイいうのを観て楽しむ映画」という点において『ディセント』や『ヒルズ・ハブ・アイズ2』あたりを連想させますが、そこに原口智生監督によるビデオ映画『ミカドロイド』を髣髴させる旧日本軍の遺した怖い怖い遺産が絡んでくる、というわけなんですね(とかいって『ミカドロイド』観てないっすけどね!)。ただ出来としては『ディセント』や『ヒルズ・ハブ・アイズ2』あたりのイラつく演出が無くて素直に楽しめました。なにより良かったのは、旧日本軍がテーマに関わっているだけあって、作品のそこここで微妙な日本語や日本語ポスターや日本っぽい意匠が施されているという点なんですよ。

例えば洞窟内の旧日本軍秘密基地にある旭日旗をバックにした軍人さんのポスターとか、漢字で書かれたプロパガンダとか、そういうのも面白かったんですが、旧日本軍の生き残りの人が現われたりしてね、きっとたいていの人は「おお!横井さん!?」とか「小野田さん!?」とか思っちゃうんじゃないでしょうか。しかもこの地下秘密基地自体があの悪名高き731部隊のもの、ということになっているんですね。さらに隠されている財宝というのが「山下財宝*1」の一部である、という部分も細かいですね。この辺、第2次世界大戦で日本と因縁浅からぬインドネシアならでは設定ではないでしょうか。

そしてこの映画の見所となるのは、後半に登場する甲冑着て日本刀下げた強化兵士軍団の登場でしょうね。こいつらが地下巨大倉庫で始皇帝陵の兵馬俑みたいに隊列組んで、今や遅しと殲滅する相手を待ち構えている姿は迫力ありましたよ。そもそも原子爆弾まで登場した世界大戦に、日本が甲冑に刀の兵士作ってた、ということ自体馬鹿馬鹿しくて可笑しい話なんですが、こんなもん作ってるから日本は戦争に負けたんだよ!ともちょっと思っちゃいましたね!でもこいつら銃で撃たれても屁とも思わない強化人間だから、白兵戦はとりあえず無敵で、主人公ら登場人物はどんどん追いつめられてゆくんですね!ホラー的にはまあまあだったんですが、人体実験室の禍々しさとこの甲冑戦士とで楽しめた映画でしたね。

*1:山下奉文大将率いる日本軍によって、終戦時にフィリピンに埋められたとされる莫大な埋蔵金についての都市伝説