ハリウッドスターたちが本人役で阿鼻叫喚の世界の終りを演じる映画『ディス・イズ・ジ・エンド 俺たちハリウッドスターの最凶最期の日』

■ディス・イズ・ジ・エンド 俺たちハリウッドスターの最凶最期の日 (監督 セス・ローゲン,エヴァン・ゴールドバーグ 2013年アメリカ映画)


ハリウッドスターたちが本人役で登場し、恐るべきパニックの中阿鼻叫喚の大騒ぎを繰り広げるというセス・ローゲンが製作・監督・脚本・主演のコメディです。
お話はLAに住む俳優セス・ローゲンの元にジェイ・バルチェルが訪れ、ジェームズ・フランコの新築披露パーティに参加するところから始まります。パーティーにはジョナ・ヒル、クレイグ・ロビンソン、ダニー・マクブライド、クリストファー・ミンツ=プラッセばかりか、エマ・ワトソンや歌手リアーナまで訪れているんですな(他にもカメオ出演有)!買い物に出掛けたセスとジェイは空からの青い怪光線に人々が拉致されるのを目撃、その後大地震と不気味なクリーチャーが街を襲い始めます!次々と間抜けな死に方をしてゆくハリウッド・スターたち!生き残った面々は家に立て籠もりますが、危機はさらに彼らを襲い、そしてストレスからお互い同士も一触即発の危機に!ハリウッドスターたちは生き延びることができるのか!?というSFチックなコメディなんでありますな。
構成としては『スカイライン』みたいな青い光の人間拉致や『世界侵略 ロサンゼルス決戦』みたいな火の海となったロサンゼルスや『ミスト』みたいな孤立した集団のサバイバルや『エクソシスト』みたいな悪魔憑きが登場しますが、まあ結構思い付きで作ったのではないかと思われます。むしろ中心となるのは危機に出遭ったハリウッドスターたちの人間性テストみたいなあまりにイタイ言動や行動の数々でしょう。ここで描かれるハリウッドスターたちのしょうもない性格やあまりよろしくない言動行動は決して本当のことではないにせよ、「こいつだったらこのぐらいバカでもおかしくないなあ!」とか「こいつだったらこのぐらい卑劣で性格悪くてもおかしくないなあ!」と観客に思わせ、そんな部分を上手く描いて笑いに持って行っているところがミソでありましょうか。
現実のハリウッドスターたちがお互い疑心暗鬼に取りつかれ、口汚く罵りあったり抜け駆けしたり情けないぐらいへっぴり腰だったりするのを見せられるのが面白いこの映画、それぞれのキャラを全部書き出すことはしませんが、いつも自分が浮いている気がしているジェイ・バルチェルが段々と周りからハブられてゆく様、ダニー・マクブライドの自己中ぶりはなんだか妙にキャラが合ってるし、あの可愛らしいエマ・ワトスンがあんなことやこんなことをするくだりなんかも可笑しかったなあ。
ただまあハリウッドスターというよりは、セス・ローゲンを中心とするハリウッドコメディスターたちが中心となっている作品なので、彼ら自身に馴染がないと面白さが半減するかもしれません。会話なども上手く練られている(あるいは上手くアドリブを効かしている)のですが、楽屋落ちでイージーに流れてゆく部分も多いので、いわゆる「ハリウッドコメディスター新春かくし芸大会」程度のものだと思って気楽に観たほうがいいでしょう。