■プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命 (監督:デレク・シアンフランス 2012年アメリカ映画)
『ドライヴ』を観てライアン・ゴズリングにすっかりシビレてしまったオレとしてはこの『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命』(しかし長いタイトルだな)も観ねばなるまい、と思ったわけなんですよ。
お話は大まかに3つのパートに分かれます。
まず流れ者の曲芸バイク乗りであるゴズリングさんが、ある町にやってくる所から物語が始まるんです。かつて寄ったことのあるこの町で一発やっちゃったことのあるウェイトレスが、実は自分の子供を産んでいた!と知ったゴズリングさん、「うおおお俺の子供かあいい!俺絶対面倒見る!」とか舞い上がっちゃうんですね。でももうウェイトレスには恋人もいて、子供の面倒も見てるんですが、ゴズリングさん全く空気読むつもりも無く父性愛を暴走させまくり、いろんなことを引っ掻き回しちゃうんです。いやー全身刺青まみれのバイク大好き兄ちゃんという直球ド真ん中DQNのゴズリングさん、その行動も子供に対してもDQN街道まっしぐら、というわけなんですな。で、このゴズリングさんが、銀行強盗に手を染めて、いろいろヤヴァイことになってゆく…というのが最初のパート「DQNのゴズリング篇」です。
次は銀行強盗のゴズリングさんを追いつめた警官を中心に描くパートです。この警官を『ハングオーバー!』シリーズのブラッドレイ・クーパーが演じております。ゴズリングさんの一件の後、警官同士の証拠品ちょろまかし汚職に巻き込まれ、正義と仲間の名誉の板挟みになり、とてもとても苦悩しちゃうんです。マジメーな奴なんですな。めんどくせえ奴って言い方もありますけどな。これが「めんどくせえブラッドレイ・クーパー篇」であります。しかし後後考えるとこのパートいらないような気がしたんだけどねぇ。
最後にその15年後を描くパートになります。「DQNのゴズリング」と「めんどくせえブラッドレイ・クーパー」の因縁が15年かけてグツグツと煮詰められ、最後に宿命の暗い火花をバチバチと散らすというわけなんですよ。さらに15年も経ってますから子供たちの世代まで話がもちこまれます。このパートでは『クロニクル』のあの超能力少年出てきてやっぱり屈折しまくっていたのが愉快でしたね。ラスト空飛ぶのか?と思ってたら飛びませんでしたが。
ただ、こんな感じで3つのパートにそれぞれドラマを持ちこんでさらに一つの話にまとめてますから、なにしろ長いんだよなあ。そして全体的に重くて暗くて不幸まみれの辛気臭いお話なんですよ。お母さん役のエヴァ・メンデスなんて最初っから最後まで泣かされまくりで、ある意味イジメととられても文句言えないぐらいでしたね。要するに長い・重い・暗いと三拍子揃っちゃってて、半分ぐらい観た段階でゲンナリしちゃって「いやもう勘弁だわこれ」とか思いつつレンタル代勿体ないから一応全部観ましたけれども、しかしラストだけは雲が晴れて一条の光が差し込んだかのように明るく軽やかな希望が残るんですね。
多分製作者はこのラストに至るために長ーい時間かけて全てのドロンドロンのお話を用意したんじゃねえのかなあ思いましたが、だからってここまで登場人物みんな揃って不幸まみれにすることないじゃんねえ。製作者底意地悪くね?というか不幸まみれの人生描けば深く人間描けると誤解してなくね?とブツクサ言いたくなるドラマでありました!
あとライアン・ゴズリングでさっき調べたら、彼って変態ラブドール映画『ラースと、その彼女』の主演やってたんだ!オレ劇場で観たよ!いやああの変態映画、一人の変態としてマジ泣かされたわ!やっぱりゴズリングは変態とかブチキレキャラとかが似合ってますねえ!
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