クローネンバーグ初期傑作選その4 / この映画を一言で言いますとですね、「脳みそどっかーん!!」なわけですよ。〜映画『スキャナーズ』

スキャナーズ (監督:デヴィッド・クローネンバーグ 1981年カナダ映画)


スキャナーズ』である。小腹が空いたら。それはスニッカーズテイタム・オニールの子供野球映画。それは「がんばれベアーズ」。愛しあうその時にこの世は止まるの。それは「夜明けのスキャット」by由紀さおり。P・K・ディックのジャンキーSF。それは「暗闇のスキャナー」。今回は苦しいのでこのぐらいにさせてくれ。ええとそういうわけでデヴィッド・クローネンバーグ出世作ともいえるグヂャドロ超能力映画、それがこの『スキャナーズ』なのである。
この映画を一言で言い表しますと「脳みそどっかーん!!」、これに尽きますね。映画冒頭で悪モンの超能力者が念力で相手の頭を爆発させるというグロ凄まじいシーンがあり、それがそのままこの映画のトーンとなって物語そのものを牽引してゆくんですな。お話はと言いますとまあ要するに良い超能力者と悪い超能力者の超能力合戦です。それをクローネンバーグならではのえげつない特殊効果でドロドロのグヂャグヂャに描いているというわけです。
実は超能力を主題としたサスペンス/ホラー映画はこの『スキャナーズ』が最初ってわけでもないんです。『スキャナーズ』は1981年作ですが、デ・パルマの撮った超能力少女ホラー『キャリー』は1976年作だし、同じくデ・パルマの超能力スパイ・スリラー『フューリー』も1978年作、特にこの『フューリー』では既に念力による人体爆破シーンが描かれていたりするんですな。だから『フューリー』のほうを先に観ていたオレなんかは『スキャナーズ』の存在を知った時も「二番煎じだろ?」ぐらいにしか思ってなかったんですよ。しかし実際観てみると『スキャナーズ』のほうが格段に悪意と陰湿さがこもっている上に胸糞悪くなるぐらいお話が暗く、そういった部分でカルト的に人気を得たのも頷けるものがありました。
しかし個人的には『スキャナーズ』のその暗さに相当辟易した覚えがあるんですよ。その時観たレンタルVHSのつぶれてぼやけた画質のせいもあるんでしょうが、とにかく不快で不愉快な映画でしたねぇ。ホラー映画が不快で不愉快ってぇのは褒め言葉になっちゃいますが、ショッキングな映像が次々に飛び出すホラーならまだしも、この『スキャナーズ』ってひたすらどんよりしているんですよ。始めて観た時は風邪でも引いたみたいに頭重くてぐったりしたなあ。ただし今回Blu-rayになったんで久しぶりに観てみたんですが、始めて観たときよりも面白く観られましたね。陰謀渦巻くストーリーとか味方の超能力者が次々と倒れていく展開とか、よく出来てるじゃないですか。決して「脳みそどっかーん!!」だけのホラーじゃなかったんですね。
ところでこの映画の完成度とは何の関係も無く思ったんですが、超能力テーマの映画って、意外とお金かけず簡単に出来たりするんじゃないでしょうか。ゾンビみたいな特殊メイクや切り株や爆発みたいな特撮使わなくとも、超能力者が「う〜〜ん!」と念じる演技と念力かけられた相手が「うああああ!」と悶絶する演技があればそれっぽく見えるし、あと適当にモノを投げたり動かしたりして念動力が使われているように見せればいいんですよ。真面目に撮ろうとすると駄目でしょうが、あくまでパロディということなら、結構手軽に作れそうな気がしてきたな。一週間ぐらい有給貰えたら作ってもいいけど、しかしその前に有給が貰えそうもない…。
http://www.youtube.com/watch?v=PmJC3ZaXBEc:movie:W620

スキャナーズ リストア版 [Blu-ray]

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