手塚先生は『ウルトラQ』にも嫉妬していた!〜『ブラックジャック創作秘話〜手塚治虫の仕事場から(4)』

ブラックジャック創作秘話〜手塚治虫の仕事場から(4) / 宮崎克(原作):吉本浩二(漫画)

ブラック・ジャック創作秘話』4巻を(オレも)買って読んだッス。まあ見所などはワッシュさんのブログ記事で読んでもらえばだいたい把握できると思いますんであれこれ書きませんが、今回読んでびっくりした、というか呆れたのは、手塚治虫先生があの『ウルトラQ』にまで嫉妬していた、ということですかねえ…。
円谷プロが『ウルトラマン』に先駆けて製作した特撮ドラマ『ウルトラQ』、実はたいへんオッサンであるオレはリアルタイムで見ていたんですが、確かにミステリアス極まりないアンバランスゾーンっぷりがガキンチョだったオレのハートを鷲掴みでしたよ。しかしこれの裏番組が、手塚先生原作のアニメ『W3(ワンダースリー)』だったんですね。裏番組だったことは覚えてない…というかそもそも観ていなかったからか。
この『W3(ワンダースリー)』、『ウルトラQ』に視聴率を奪われて非常に苦戦したらしく、そりゃまあ手塚先生が面白くなかったのもわかるが、それよりも放送当時、自分の息子である手塚眞君が『W3(ワンダースリー)』よりも『ウルトラQ』を観たがって、それに対して手塚先生の奥さんは「お父さんのアニメ見なさい!」と眞君に言ったら、手塚先生は「子供の観たいものを観せてあげなさい!」と大激怒したらしいんですね。
で、おお!手塚先生かっこいい!と思ってたら、その後息子の眞君が『ウルトラQ』に熱中する姿を見て、結局やっぱり『ウルトラQ』に嫉妬しまくったという。ああ、ここでも嫉妬なんだ…。マンガ界では神と言われベテラン中のベテランだった最盛期の手塚先生でも、絵の巧い新人が登場すると嫉妬しまくっていた、というのはよく聞くんですが、『ウルトラQ』にまで嫉妬か…。先生、ホントに生涯嫉妬の塊だったんだなあ、としみじみと心の温まる名エピソードでした。
まあ手塚先生はその嫉妬を原動力に様々な傑作を生み出したりも出来ますけど、一般人は嫉妬したからって何か生み出せるという訳ではありませんからね。そのへんは誤解しちゃダメですよね。