壊せ壊せみんな壊してしまえ!〜映画『ホワイトハウス・ダウン』

ホワイトハウス・ダウン (監督:ローランド・エメリッヒ 2013年アメリカ映画)


アメリカ合衆国議会議事堂がテロリストに占拠され、上を下への大騒ぎさ!というアクション映画です。主人公はシークレット・サービス試験に落ちこぼれた議会警察官のジョン・ケイルチャニング・テイタム)。彼はホワイトハウスオタクの娘とここに見学ツアーに来て事件に巻き込まれ、「落ちこぼれだってやる時ゃあやるんだ!」とばかりにテロリストを追撃、ついでに囚われの大統領(ジェイミー・フォックス)まで助け、テロリストたちの陰謀を暴こうとするんですね。

議事堂ドームの大爆破から始まり、さらにあちこちでもドッカンドッカン爆破が起こり、中ではドンパチ銃撃戦、政府要人は次々とぶっ殺され、議事堂に向けての戦車砲撃、調子に乗って議事堂の庭でのカーチェイス、その庭には蚊トンボみたいに戦闘ヘリが次々と墜落します!しかも破壊の舞台は議事堂ばかりに留まりません。なんとxxが発射されxxが打ち落とされちゃう、という大パニックまで起こってしまいます。大風呂敷はさらに広がり、遂には第3次世界大戦勃発か!?な〜んて所までいっちゃうんですね。このやりたい放題のムチャクチャ振りが楽しい映画となっているんですよ。

監督は『インデペンデンス・デイ』『GODZILLA』『デイ・アフター・トゥモロー『2012』と、モノをぶっ壊し世界を滅茶苦茶にすることにかけては他の追従を許さないローランド・エメリッヒ、この映画でもアメリカ合衆国議会議事堂といういわばアメリカの中心をこれでもかこれでもかとぶっ壊しまくります。いやー楽しんで作ったんだろうなー。監督の「壊せ壊せみんな壊してしまえ!」という心の叫びが聞こえるような映画でしたよ。

プロット的には『ダイハード』の第1作とよく似ているなーと思いました。落ちこぼれ警察官が主人公、テロリストによる建物占拠、建物の構造を巧く生かした逃走劇、屋上でのヘリとの攻防、人質に肉親が存在、そして肉親だとバレて主人公をおびき出すエサにされたりとか、枚挙に暇がありません。一番似ているのが主人公が白いタンクトップ一枚で頑張っちゃう所でしょう。というかこのシナリオのままブルース・ウィリス演じるジョン・マクレーンを主人公にして「『ダイハード』の新作です」とか言ってもみんな普通に納得しちゃうでしょう!

あとこの映画、シリアスな場面ばかりではなく、主人公と彼に助け出された大統領の掛け合いが妙に楽しかったりします。ってかある意味これ、アクション映画でも珍しい、大統領と警官を主人公にしたバディムービーと言えるかも!?そしてこの大統領がなんと言ってもお茶目!逃走時にスニーカーを履いて敵に「俺のエアジョーダンに触るな!」と怒って見せたりとか、大統領専用車ではなぜかゾンビ映画が流れてたりとか、挙句の果てにはロケットランチャーまで撃ってみせます!

この大統領のヤンチャ振りも含め、映画全体にはヨーロッパ人監督エメリッヒ独特の「アメリカ的なもの」への皮肉がこもっているようにも見えました。クライマックスの「アレ」ってさー、感動するところなのかもしれないけど、オレなんだか「プッ」って笑っちゃったよ。その辺、同じヨーロッパ人監督であるポール・バーホーベンの『スターシップ・トゥルーパーズ』にも通じる、「マッチョなアメリカ」への諷刺をどことなく感じましたね。
http://www.youtube.com/watch?v=CJp3GV3igNE:movie:W620

Ost: White House Down

Ost: White House Down