最近ダラダラ読んだSF小説とか〜『第四の館』『巨獣目覚める』

■第四の館 / R・A・ラファティ

とってもいい目をしているが、おつむが足りない若き新聞記者フレッド・フォーリー。彼はテレパシーでつながって人間を越えた存在になろうとする七人組の“収穫者”にそそのかされ、さる政界の大物が五百年前に実在した政治家と同一人物ではないかと思いつく。この記事を調べるうちに、フォーリーはいくつもの超自然的友愛会が世界に陰謀をめぐらしていることを知り、熾烈な争いの中に巻きこまれていく…世界最高のSF作家、ラファティによる初期傑作長篇がついに登場。善と悪、現実と幻想、正気と狂気が入り乱れ、奇天烈な登場人物が大暴れする唯一無二のラファティ・ワールド。

古の時代より歴史の裏で進行していた超能力者たちの派閥争いにまきこまれた青年のお話。読んでいてラファティ版『幻魔対戦』かと思ってしまった。いわゆる象徴主義的なキーワードを配することにより深読み必至の物語構造になっていて、それが一般に難解な作品と言われている理由のようなのだが、実のところ「カッコイイとこ見せたかったからちょっともったいぶって難解っぽくしてみましたー」というのが真実なのではないのか。なんかエヴァみたい。そのもったいぶり方が鼻についてなんだかあんまり面白く読めなかったなあ。

■巨獣目覚める / ジェイムズ・S・A・コーリイ

巨獣めざめる (上) (ハヤカワ文庫SF)

巨獣めざめる (上) (ハヤカワ文庫SF)

巨獣めざめる (下) (ハヤカワ文庫SF)

巨獣めざめる (下) (ハヤカワ文庫SF)

月や火星、小惑星帯に人類が進出した未来。土星から小惑星帯に帰還中の氷運搬船が何者かの攻撃を受け、破壊される。独立の機運高まる小惑星帯への火星の宣戦布告か? かろうじて生き延びた副長のホールデンらは、復讐を心に秘め、謎を追うが……。一方、その襲撃の知らせで戦争の危機に揺れる小惑星ケレスでは、刑事ミラーが失踪した富豪の娘ジュリーの捜索任務を引き受けることになるが……。

まあ要するにあれだ、映画『エイリアン』とグレッグ・ベアSF小説『ブラッド・ミュージック』を合体させたかったわけだ。で、結局読んでいる間中この両作品と似てるなあ似てるなあと思いながら読んでしまう羽目になった。しかもテンポが悪く、一定のテンションを持続させられていないため物語の興奮がぶつ切り。そして作品世界を詳細に描こうとしたかっただろうが、描写が冗漫。っていうか最近のSFは冗漫なのが流行ってるのか?