映画『G.I.ジョー バック2リベンジ』は「モータル・コンバットvsXメン:メガフォース風味」だった

G.I.ジョー バック2リベンジ (監督:ジョン・チュウ 2013年アメリカ映画)


女の子にはバービー人形、男の子にはG.I.ジョー。メリケンの子供用玩具G.I.ジョーを映画化した(正確にはアニメ作品の映画化らしい)『G.I.ジョー』だったが、その来歴のせいか映画のほうも玩具のような出来ではあった。造形はまずくないが人形なだけに中身は空っぽ。同じハズブロ製品を映画化した『トランスフォーマー』が「生きているように動くロボット」を再現したにもかかわらず、映画の『G.I.ジョー』は「ロボットみたいに中身のない人間」が右往左往する作品だった。もとが子供向けのものを大人でも鑑賞に堪える作品に仕上げるのが得意なハリウッドなのに、特殊兵器!砂漠の秘密基地!悪の秘密結社!と、なんだか「ショッカーとゴレンジャーの戦い」をセットだけ金掛けて見せられているようなお子チャマ感が拭えない中途半端な作品だったのだ。まあパリでのドンパチシーンは楽しかったけどね!
それでも結構なヒットはしたらしいのだが、やっぱりお話がお子チャマ過ぎだろうという反省があったのか、続編である今作『G.I.ジョー バック2リベンジ』は主演メンバーを一新、ドウェイン・ジョンソンブルース・ウィリスという脂ハゲ&枯れハゲを主演に据え、もうちっと観客年齢層を上げつつハゲ好きの女子やハゲ専の男子を観客に取り込んでのヒットを狙って製作されたと思しい作品になっている。製作者側にもリブートしたいという意向があったらしい。
しかし「主演メンバー一新」ということで前作からの続投メンバーが数人しか登場していないのではあるが、なにしろ前作の登場人物が全員キャラ的にどうでもいいような連中だったのと、観ているオレが寄る年波で記憶が殆ど無くて誰が続投なのか宇宙忍者みたいなヤツぐらいしか覚えていない。そもそも予告編で観た白忍者(ストームシャドーね)を最初「こいつイイモンだったっけ?」と思って観ていたぐらいである。
とういわけであんまり観る気もなかったこの映画だったのだが、3Dで観た予告編(雪山でぴょんぴょんするやつ)が実によく飛び出していて、「これは結構イケるか?」と思いついつい2000円の3D料金払って観てしまったと言うわけである。
でまあ感想はと言いますと、「ショッカーvsゴレンジャー」だったのが「モータル・コンバットvsXメン:メガフォース風味」になったって感じですかね。特にヒマラヤや日本が舞台になってる勘違いした神秘なオリエンタリズムに裏打ちされたニンジャ・シーンのモータル・コンバット感は強烈でしたね。あの変な感じといいますか観ていてむず痒くなってくる感じは、今にも「究極神拳!」とか言いそうでヤヴァかったでした。あとメット野郎が多いのと変身が得意な敵キャラが出てきたり、サミットに集まった各国首脳がうんたらかんたらやってるのに微塵もスケール感を感じさせないところなんかがXメン(それも第1作)臭かった要因でしょうか。
そして今作のテコ入れで導入されたドウェイン・ジョンソンがよくわかんない近未来兵器で戦ってるところなんかはレイモンド・チョウ製作総指揮・『キャノンボール』のハル・ニーダム監督による天下のトホホ特殊戦隊映画『メガフォース』のチャチさとダブって見え、あまりの悲しみにその後の展開は涙で画面が曇ってよく判らないぐらいでした。そもそもこの『メガフォース』自体が『G.I.ジョー』的な映画と言いますか『G.I.ジョー』の原点みたいな映画だったということを考えると、『G.I.ジョー』はやらなくてもいい原点回帰をしちゃった、といえるのかもしれません!まあ要するに実にB級感満載、それも娯楽の王道みたいなB級というよりは単に安いB級になってしまった悲しさに満ち溢れた哀愁のアクション映画ではありましたね!
参考:『G.I.ジョー』は特撮戦隊モノだった!? / メモリの藻屑、記憶領域のゴミ

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