『遊星からの物体X ファーストコンタクト』はプリクエルというより普通にリメイクだった!

遊星からの物体X ファーストコンタクト (監督:マシーズ・ヴァン・ヘイニンゲン・Jr. 2011年アメリカ映画)


南極観測隊の皆さんが南極の氷の下で見つけた巨大宇宙船を開けてみたら中で宇宙人のキモい死体が氷漬けになっててそれを観測基地に持ち帰ったところ死んでるかと思ってたそれの細胞が生きてて南極観測隊の皆さんに取り付いてしまい隊員の皆さんはグジャドロのクリーチャーに変身しちゃって大騒ぎ、というのがこの『遊星からの物体X ファーストコンタクト』であります。そしてこの映画、1982年公開のジョン・カーペンター監督作品『遊星からの物体X』のプリクエルというか前日譚として製作されているんですな。
オリジナルである『遊星からの物体X』はオレの大好きな映画で、何が好きかといえばやっぱりグジャドロに変形・変身したクリーチャーのエグい形状が非常に素敵、ということがまず挙げられるでありましょう。体がブチュッと崩れたりパックリ割れたりビローンと伸びたりした挙句あちこちの部分からカタツムリみたいな角やタラバガニみたいな足やその他触手やら牙やらが有り得ない位置から生えてきて、もはやメチャクチャな形になったクリーチャーが気色悪い体液滴らせながらヒクヒク動いて「ぶもぉおおおおおお」とか吠えるんですよ。いやあもう最高でしたね!!実はオレこのグヂャドロクリーチャーのフィギュア持ってたりするんですが(自慢)もはや一生の宝物、墓場まで持っていくつもりでありますよ!
 
さてその大大大好きな『遊星からの物体X』がプリクエルとして蘇るというんだから黙っちゃいられません。日本公開はいつかと首を長くして(そりゃもう物体X並みに)待ってたんですが一向に公開の話が来ないので遂に業を煮やして通販で海外Blu-rayを購入、随分前にさっさと観ちゃってたんですが、なんとつい最近やっと日本でも公開されたみたいで、そんなわけでほんのちょっと感想を書こうかと。
でもこの『遊星からの物体X ファーストコンタクト』、正直、感想書くにもあんまり感想が無い、というか特に特筆すべきことの無い映画に仕上がってたのは確かなんですよねえ。つまんなかったとかいうのではなく、この『ファーストコンタクト』って、殆ど前作のプロットそのまんまの展開しかしてないんですよ。宇宙船から物体Xを持ち帰る、隊員が知らない間に次々と憑依される、誰が物体Xか分からないのでみんなで疑心暗鬼になってイザコザを起こす、最後に物体Xが正体現して大暴れ、とまあ、プリクエルなもんですから正編に繋がらなきゃならないんで、繋がりに破綻を見せないために大風呂敷を広げるわけも大胆な展開を見せるわけにもいかず、順当な物語展開に落ち着いちゃった、ということなんですね。だから観終わった感想はというと「これ…プリクエルというより単なるリメイクじゃん…」ということになってしまうんですね。まああんまり同じだと観客怒っちゃうから適度に差異を持たせているところに苦労の跡が見受けられますが、でも結局は"別バージョン"なんですよね。逆にこれだったら、プリクエルとしての制約を無しにして最初っからリメイクとか続編にして好きなことやったほうがもっと面白くなったんじゃないかなあ。
とはいえ、決して嫌いな映画じゃないし、グヂャドロなクリーチャーをまた見る事が出来たのは嬉しいですね。正編である『遊星からの物体X』は今観るとSFX部分に相当手作り感があって時代を感じさせますが、この『ファーストコンタクト』ではアニマトロニクスによる技術も向上し、CGなんかも入ってるんでしょうから見栄えそれ自体はよく出来ている、それと正編は男ばかりのむさ苦しい映画で、そのむさ苦しい連中が息苦しい状況に陥るというところがまたよかった、というものありましたが、今作では女性が主人公で、そういった部分でスマートさが出ている、と言えない事もないし。まあスマートならいいのかといえばそう言うわけでもないんですが、まあそういう映画だと思うことにします。

遊星からの物体X [Blu-ray]

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クトゥルフ神話への招待 ~遊星からの物体X (扶桑社ミステリー)

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遊星からの物体X ファーストコンタクト (竹書房文庫)

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