先日は東京国立近代美術館へ『生誕100年 ジャクソン・ポロック展』を観に行きました。例によって美術のことは少しも知らない自分なのですが、絵の具をばしゃばしゃと豪快に散らかした彼の抽象作品が載っているチラシを見て、あーなんだか面白そう!と思って観にいったんですね。
ポロックは、第二次世界大戦中に戦禍を避けてアメリカに避難していたシュルレアリスト達との交流や、かねてから尊敬していたパブロ・ピカソやジョアン・ミロらの影響により、無意識から湧き上がるイメージを重視したスタイルをとりはじめる。1943年頃から、キャンバスを床に広げ、缶に入った絵具やペンキを直接スティックなどでしたたらせる「ドリッピング」という技法を使う。はじめは遠慮がちに使っていたが、1947年から全面的に展開する。このころ、批評家のクレメント・グリーンバーグにより「いくら称えようとしても、称えるための言葉が存在しない」と最大級の賛辞を受ける一方、雑誌や新聞によってからかい半分の取り上げられ方をする。床に置いて描くことはインディアンの砂絵の影響などによると言われる。
また、絵画(平面芸術)は現実の風景や物の形などを再現するものではなく、描画行為の場(フィールド)であると考えていた。彼は単にキャンバスに絵具を叩きつけているように見えるが、意識的に絵具のたれる位置や量をコントロールしている。「地」と「図」が均質となったその絵画は「オール・オーヴァー」と呼ばれ、他の抽象表現主義の作家たちと通じるものがある。
Wikipedia-ジャクソン・ポロック
躍動感溢れる代表作も楽しかったのですが、初期の作品である「西部へ」の幻想性がとても気になりました。
目玉はかつてイラン革命によって門外不出となったという伝説の作品《インディアンレッドの地の壁画》。いや、ポロックの作品のどれが一番優れているかなんて判断できないんですが、しかし「作ってるとき楽しかったろうなあ」という気はします。精神療法として絵画を描いていた部分もあったそうですから、描きながら自分の心の内にあるものを探り出してゆく、その行為には、無私なる自分に没頭できるものがあったのではないでしょうか。「私は音楽を楽しむように抽象絵画を楽しむべきだと思う」とポロックも言っていたそうですから、しかつめらしい顔などせずに、カンバス一杯に踊る絵の具の軌跡を無心になって楽しめばいいのだと思います。
ポロックの半生はエド・ハリス主演・監督で映画にもなっているようですね。
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