■タンタンの冒険 / ユニコーン号の秘密 (監督:スティーヴン・スピルバーグ 2011年アメリカ映画)
- スティーブン・スピルバーグ監督、ピーター・ジャクソン製作、という夢のようなタッグで作られたCGアニメ、『タンタンの冒険 / ユニコーン号の秘密』を観てきました。ちなみに3DIMAX版を観ましたよ。
- それにしても、原作となっているタンタンって、その絵柄こそなんとなく観たことはあったんですが、どんなお話のものなのかは全く知らなかったんですよ。
- そして映画を観てみるとこれがスピルバーグの『インディ・ジョーンズ』を思わせる大冒険活劇。可愛い絵柄のタンタンをスピルバーグが冒険劇として脚色したのかな、と思ったらそうではなくて、タンタンって、もともとこういった冒険劇の物語なのらしいんですね。
- スピルバーグも30年前、『レイダース/失われた聖櫃(アーク)』公開時にパリに行った時、「"インディ"と"タンタン"はそっくり」という評論を読み、その時初めてタンタンを読み、「これは自分の手で映画化しなければ!」と思ったということなんですね。
- それなもんですから、この『タンタンの冒険 / ユニコーン号の秘密』で、スピルバーグは水を得た魚のように素晴らしいアクションに次ぐアクションを展開しているんですね!本当に楽しかった!これは老若男女誰もが楽しめる最高峰のアクション・アニメだと言ってもいいでしょう。
- それまで実写のアクションを撮ってきたスピルバーグにとって、CGアニメは初挑戦だったということですが、あたかも実写のような実にリアルな映像をCGで再現しながら、その動きは、実写では有り得ない、しかし現実離れし過ぎない、絶妙なバランスのアクションを見せているんですよ。これがそのまま実写だと嘘っぽくにしかならない動きを、アニメであることを逆手にとって、びっくりするような動きとして再現し、そしてそれがとても成功しているんですよね。アクション映画監督スピルバーグの面目躍如といったところでしょう。
- ですからアクションは息つく暇も無いぐらい次から次へと連打され、一つのアクションがまた新たな次のアクションを生み、恐るべき高速さで物語が展開してゆくんです。
- これはコンマ1秒で製作可能なCGアニメだからこそ可能だったことなのでしょう。アクション映画監督の天才といってもいいスピルバーグは、その持てる才能全てを、コンマ1秒単位でこの物語のアクションに注ぎ込んでいるんです。そうして出来上がったものが恐るべき作品であるのは言うまでもありません。
- しかし、一緒に観に行った相方さんは、面白かったけど、なんだか疲れた、とも言ってるんですよね。これ、映像と動きが緻密に濃縮され過ぎるからだったんでしょうか。
- この緻密に濃縮された映像、というとこれは実は製作のピーター・ジャクソンの影響のものであるだろうと感じました。
- ピーター・ジャクソンは、『ロード・オブ・ザ・リング』などの名作を生み出している監督ですが、実はこの監督、映像にしても編集にしても結構クドイ演出の目立つ監督でもあるんですよね。初期の『バッド・テイスト』や『乙女の祈り』も相当濃厚な味わいの作品だったし、『LOTR』完成後に撮った『キングコング』にしたってその尺も主演のジャック・ブラックの顔つきまでも濃いいものでしたし、近作『ラブリー・ボーン』でも徹底的にやっちゃった死後の世界の映像には相当のこってり感が目立っていたと思うんですよ。まあもともとがエネルギッシュなキャラなんでどうしてもこうなっちゃうんでしょうね。
- つまりこの映画、スピルバーグの超絶アクションをピーター・ジャクソンがさらに濃縮した、というとんでもない作品でもあると言うわけなんですね。そんな映像を一度に全部体験するのは確かに疲れるかもしれませんが、ソフトを買って2度3度と楽しむにはもってこいの作品とも言えるでしょうね。
- それともう一つ、これだけの満腹感たっぷりな映画のはずなのに、物語的にはさらっと流れている感じがしたのは、これがタンタンという、少年の物語だったというのもあるんでしょうね。『レイダース』と比べて『タンタン』に無いものは、オカルトと大人の女性とのロマンス、エグい暴力と死体の山、そしてむさ苦しさなんですね。つまりね、スケベじゃないんですよ。胡散臭くないんです。クリーンなんです。ただこれは宮崎アニメにエロシーンを期待するようなもので、観客層や原作を考えるとどうしてもこうなっちゃうんでしょうね。どちらにしても映画としては大満足しましたし、大ヒットするといいな、と思います。
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