■デアデビル:ボーン・アゲイン / フランク・ミラー、デビッド・マツケリー
- 作者: フランク・ミラー,デビッド・マツケリー,秋友克也
- 出版社/メーカー: ヴィレッジブックス
- 発売日: 2011/02/28
- メディア: 単行本
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名作『バットマン:イヤーワン』のフランク・ミラー/デビッド・マツケリーコンビの原点。アメリカンコミックスの歴史を塗り替えた、伝説のハードボイルド大作!かつての恋人に裏切られ、宿敵キングピンに正体を知られてしまったデアデビルことマット・マードック。仕事を、友を、コスチュームまで奪われた彼に残されたものとは…。高貴なるヒーローの転落と再生を描く、男泣き必須の伝説的名作。四半世紀の時を超え、ついに邦訳なる。
デアデビルというと映画化された作品の評判が悪かった印象しかなかったが、そもそもこの映画化作品を観たかどうかすら覚えていない。う〜ん多分観ていない。だいたいコスチュームが赤いだけの全身タイツ、というのも派手なようでいて地味すぎないか?そんなわけで今回発売されたアメコミ、『デアデビル:ボーン・アゲイン』も、スルーするつもりでいたのであるが、なんだかネットの評価を見てみると、これが意外と良いではないか。「伝説のハードボイルド大作」だなて言われてるではないか。それでこれはひょっとして、と購入し読んでみたのだが、これが、なんと、あなた、大傑作ではないですか!
たとえばこれがバットマンあたりだと、バットマンとはどういうものであるか、殆どの読者は周知であろうし、既にして「バットマンとはかくあるべし」という部分から物語は始まるだろう。しかし、このデアデビルについては、「盲目だが超感覚を持つことで常人以上の能力を会得している男」であるということ以外は、少なくともあまりアメコミのことが詳しくないオレは、殆ど先入観無しにこの物語を読むことになったのだ。オレがこの物語をたいそう面白く読むことが出来たのもそのせいであろうと思う。
物語は、暗黒街の顔役キングピンの陰謀により、デアデビルことマット・マードックが全てを失うところから始まる。職を失い、友を失い、事務所を爆破され、警察に追われる身になり、命を狙われ、しまいには浮浪者同然となってしまうのだ。いかなスーパーヒーローといえども、現実的な生活の基盤を失うと、人として生きていくのが不可能になる、という物語展開がまず面白い。決して万能のスーパーヒーローではなく、傷つき絶望し失意のどん底に落とされる、一人の人間として描かれているのだ。そして物語後半は、破滅を体験した主人公が、生きる力を得て再び蘇り、そして復讐を誓う、という再生の物語として描かれてゆく。
デアデビルの正体がキングピンに知れ渡ったのは、実は薬物中毒者に成り果てたマット・マードックのかつての恋人が、薬欲しさに彼の正体を売り渡したからだった。ジャンキー特有のボロボロの哀れ極まりない容姿で登場する彼女は、やはり悲嘆と絶望の世界で生きる女性だった。しかしその後彼女は、良心の呵責から破滅した主人公の行方を追い求める。そして絶望に打ちひしがれたこのかつての恋人と、マット・マードックとの再開シーンが、これがもう涙無しでは見られない盛り上がりまくりの怒涛の展開で、物語をなお一層熱く盛り上げるのだ。そう、この『デアデビル:ボーン・アゲイン』は、感情に訴えかける実に【熱い】物語であり、原作者であるフランク・ミラーの、面目躍如ともいうべき、優れた作品であるといえるだろう。それと、敵役として登場する"ニューク"なる男のキチガイ振りもハンパ無いんで、ヴィラン好きにもお薦めかも!
◎参考:復活悪魔くん デアデビル:ボーン・アゲイン - 小覇王の徒然はてな別館
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