ドキュメント風POV映画にまた騙された!〜映画『アルマズ・プロジェクト』

■アルマズ・プロジェクト (監督:クリス・ジョンソン 2007年アメリカ映画)


墜落したロシアの宇宙ステーションから回収された映像には恐るべき事実が隠されていた…というお話です。一応これ、POVによる擬似ドキュメント風のSFホラー作品で、『ブレアウィッチ・プロジェクト』や『パラノーマル・アクティビティ』あたりを思わせる作りになっていますが、映画の完成度もこの2作とどっこいどっこい、知名度では最低、という寂しい出来になっております。
しかし『ブレアウィッチ・プロジェクト』や『パラノーマル・アクティビティ』、オレ自信は退屈だったし全然面白く無かったんですが、この2作は観客動員数も興行成績もかなりよかったようなんですね。面白かったし、怖かった、と言ってる人も結構いるんです。メディアでの露出の仕方もあったのかもしれませんが、映画としては実際成功しているんです。宣伝次第でどうにでもなるゲロ映画っていうのは確かにありますが、この2作はそういったゲロ映画とはちょっと違うと思う。この2作が人気だったのは、POVの強みというんですか、映像が生々しかったからなんでしょうね。それと、とてもありふれた、ある意味身近なライフスタイルのワカモノタチが、ワケの分からない恐ろしい目に遭う。男性よりも女性のほうに強い支持があるような印象でしたが、女性の方が身近なシチュエーションでかつ生々しい事件というのに惹かれやすい気がしますし、一方男性は「物語が無い」とか虚構性の弱さからこれら2作品に退屈するんじゃないんでしょうかね。そういった部分で、「何を持って面白いと感じるか」のアンテナの位置が違うから観た人の評価が極端に分かれるような気がします。
一方この『アルマズ・プロジェクト』、しょーもない映画と言ってしまえばそれで終わりだし実際しょーもないんですが、実はオレ、割と面白く観たんですよ。面白い、というのとは違うな。なんかこう、「ドキドキして」観たんですね。ロシアの宇宙ステーションに謎の怪電波が届いて宇宙ステーションが航行不能になり、地球の管制センターとは音信不通になり、さらに乗員が次々に謎の死を遂げるんです。そして生き残っている乗員も「この宇宙ステーションには何かいる!」とか言い始めるんですね。なんかこうやって粗筋書くと結構面白そうじゃありません?確かにきちんと作ったら面白くなったかもしれませんね。舞台となる宇宙ステーションも雑な作りなんですが「ロシアの宇宙ステーションじゃこんなもんだろなあ」ぐらいのリアリティがあってそれほど悪くないんですよ。ただ科学考証が嘘だらけだし、そもそも「数年前銀河の中心に送ったデータに気がついた宇宙のなんらかの生物が接触してきた」って、数年で電波が行って帰ってこれる場所には恒星さえないだろ。そういった齟齬を見て見ぬふりしても、異変が起こってからグチャグチャと挟み込まれる思わせぶりで断片的すぎる映像が映画をチャチにしちゃってるんですよね。
ただねえ、観終わって「なんだかなー」とため息の出ちゃう凡作ではあるんですが、こういった題材の映画についつい惹かれちゃう、興味を持っちゃう自分というのもあるんですよ。昔、TVのUFO特番や心霊特集あたりの胡散臭い番組を息を飲んで見ていた自分っていうのがなんだか顔を出しちゃうんでしょうね。この間観た『THE 4TH KIND フォース・カインド』なんかも、そういったインチキって分かってるのになんか期待して見てやっぱりがっかりして終わっちゃう映画でしたね。『ブレアウィッチ・プロジェクト』や『パラノーマル・アクティビティ』に"霊"や"呪い"の生々しい恐怖を感じちゃう人がいるのと同じように、オレはUFOとか宇宙の怪に弱いんですよ。あとUMAとかね!そんなことを考えると、面白いかどうか以前に、オレみたいな嗜好の人間に観たいと思わせて実際見せちゃう段階でこういう映画は勝っちゃってるのかも知れませんね。SFチックなフェイク・ドキュメンタリーの傑作、『第三の選択』には遠く及びませんけどね。

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パラノーマル・アクティビティ [DVD]

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THE 4TH KIND フォース・カインド 特別版 [DVD]

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第3の選択―米ソ宇宙開発の陰謀

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