73年ウェス・クレイヴン・デビュー作のリメイク『ラスト・ハウス・オン・ザ・レフト 鮮血の美学』

ラスト・ハウス・オン・ザ・レフト 鮮血の美学 (監督:デニス・イリアディス 2009年アメリカ映画)


静かな湖畔の森の影から「テメエブチ殺す!」とおっさんがわめくぅ〜カッコーカッコーカコカコカコー。というわけで73年製作のウェス・クレイヴン監督デビュー作「鮮血の美学」をリメイクしたバイオレンス・ホラー『ラスト・ハウス・オン・ザ・レフト 鮮血の美学』であります。
森の別荘に遊びにきた家族がこの物語のメインとなるんですが、そこの娘が「森ン中タリーから町のダチん所遊びにいくわ」とか言って出掛けるんですな。で、友人と合流したら「ハッパやんね?」とか言ってるガキがいて、のこのこついていってしまうんです。しかーしそれはとある凶悪犯ご一行様の一人だったんですな!そして二人は凶悪犯ご一行様に拉致られてしまい、友達と一緒になぶられるだけなぶられちゃうんです!まあヒドイ!ハッパなんかやろうとしたバチなのかな!?しまいに友達は目の前で刺殺され自分も逃げようとしたところを銃で撃たれるんです!凶悪犯たちはズラかろうとするんですが事故ってしまいたどり着いたのはさっきまでなぶりものにしていた娘の両親の住む別荘だったんですな。両親はこの連中の正体に気づき、復讐の鬼となって凶悪犯たちを一人また一人と惨殺してゆく…というお話です。
そんなわけでこの『ラスト・ハウス・オン・ザ・レフト 』、幸福な家庭があっという間に地獄にたたき落とされ、それまでごく一般の普通の人達でしか無かった両親が復讐の為に暴力と殺戮の世界に身を投じてしまう、というまさしく修羅の道を描いたお話になっております。そういえばインド神話の阿修羅神の逸話も娘をかどわかされた阿修羅の復讐の物語でしたな。復讐の味はなによりも甘いね!復讐サイコーだね!愛娘を雑巾みたいにボロボロにしてしまった連中なんざ人間なんかじゃねえ!虫けら以下だ!やれやれやってしまえ!
映画の方はとても撮影が美しくてあんまりホラーっぽくない所が逆に目新しかったでしょうか。その為か映画中盤まではサスペンス・ドラマ観ているような気分でしたな。後半無意味にスプラッタな演出が入ってやっとホラーっぽくなるんですが、ジャンル分けにこだわるわけでもないけれども、このサスペンスとホラーの線引きって、ある種の過剰さ、物語を無視してでもショッキングなシーンを挿入したがるマニアックさにあるのかもな、とこの映画を観てちと思いました。実はウェス・クレイヴンのオリジナルは観ていないんですが、オリジナルはもっと気の狂った演出しているらしいですな。