アルケミスト―夢を旅した少年 / パウロ・コエーリョ

アルケミスト―夢を旅した少年 (角川文庫―角川文庫ソフィア)

アルケミスト―夢を旅した少年 (角川文庫―角川文庫ソフィア)

羊飼いの少年サンチャゴは、アンダルシアの平原からエジプトのピラミッドに向けて旅に出た。そこに、彼を待つ宝物が隠されているという夢を信じて。長い時間を共に過ごした羊たちを売り、アフリカの砂漠を越えて少年はピラミッドを目指す。「何かを強く望めば宇宙のすべてが協力して実現するように助けてくれる」「前兆に従うこと」少年は、錬金術師の導きと旅のさまざまな出会いと別れのなかで、人生の知恵を学んで行く。欧米をはじめ世界中でベストセラーとなった夢と勇気の物語。

エキゾチックなファンタジー小説であり、ひとつの寓話小説でもある。ある種の運命的な啓示を受けた少年がスペインからエジプトへと旅し、その道中で出逢う様々な人々の生き方から様々なものを学ぶ。途中何度もエジプト行きを諦めかける少年だが、その度彼の内面の声が囁きかける。それらの出来事を通し、生きること、生きながら何かを選択し,目指していくことをシンプルな言葉で描いてゆく。その中で錬金術は魔術というよりも世界を、宇宙を理解するためのひとつの科学として現れるのだ。非常に力強く、そして爽やかな掌篇だった。