リメイク版『Clash of the Titans』はちょっとクラッシュ気味だった!?〜映画『タイタンの戦い』

タイタンの戦い(監督:ルイ・レテリエ 2010年アメリカ・イギリス映画)


そもそもこのリメイク版『タイタンの戦い』、予告編で観たときは「なんかヌルくてタルそうな映画だなあ」と思い劇場はスルー、その代わり劇場公開時にハリーハウゼン版オリジナルDVDを買ってきてそっちのほうを鑑賞し、「オモシレエなあ、やっぱハリーハウゼンサイコー!」とか言っていたどこまでもひねくれモノのオレである。
で、今回リメイク版のレンタルが出たんで借りて観てみたんだが、やっぱり最初予告編で観たときに感じた通り、ヌルくタルい映画であった。そういえばこのリメイク版、監督誰だっけ?と思ったら『トランスポーター』『インクレディブル・ハルク』のルイ・レテリエ、嫌いじゃないんだが難を言えばどことなく大味、直情型、整合感よりも勢い、と言った監督で、これが作品によっては功を奏することがあるのだけれども、今回のリメイクではちょっと失敗だったか、と思われるな。フランス人監督ってラテン系の勢いの良さがあるが勢い余ってコケルこともしばしばで、要注意。
だいたいなによりも、キャスティングがほぼNG。『アバター』『ターミネーター4』のサム・ワーシントンはヌボーッとした顔がなんだか暢気そうで、『アバター』の時は落ちこぼれ海兵隊員だったから雰囲気は合ってたが、この『タイタンの戦い』でも相変わらず暢気な海兵隊員にしか見えず、ギリシャ神話に登場する半神の勇者ペルセウスとか言われても「はぁ?」としか思えない。その点ゼウス役のリーアム・ニーソンは、キャラがどうとか言う以前にあの意味も無くやたらキラキラ輝く神様の甲冑にばかり眼が行ってしまって、意外と何にもしなくても目立っていた、というのがズルイ、というか役得というか。女優はアテナもアンドロメダもモサッとした印象の女優ばかりで全然盛り上がらない。この映画で唯一綺麗だった女優は怪物であるメデューサだった、そしてカシオペア王妃がオバハンだったがスゲエ巨乳だった、というのもなんだかなあ。脇役なんかはみんなチンピラ崩れの顔した連中ばっかりで、ギリシャ神話世界というよりもヒャッハー世界だったな。
それと予告編で観て一番印象が悪かったのがモンスターだ。いまどき「巨大さそり」とか言われてもなあ。『恐竜グワンジ』時代の特撮でもあるまいし。ただこの「巨大さそり」、後半乗り物として役に立っていた部分は面白い。さらにメデューサの造形と動きは、ここはさすがCGと思わせるイイ出来で、迫力といった部分ではオリジナル版を超えていたと思う。メデューサ戦では立体的に構成されたダンジョンでの戦闘が緊迫感を増していた。そしてやっぱりクラーケンだろう。その巨大さや動きは破壊獣に相応しいもので、これもオリジナル版ではなし得なかったものを再現できていたと思う。
ただどちらにしろ作品全体には大味の感が拭えない。印象としては《東映夏休み怪獣まつり》、なんだかオコチャマ臭がある。それにしてもハリーハウゼンものでいうとこの『タイタンの戦い』はどちらかというと失敗作扱いで、『アルゴ探検隊の大冒険』あたりをリメイクしてほしかった気も。・・・と思って調べたら『アルゴノーツ 伝説の冒険者たち』というタイトルで2000年にTVシリーズとしてリメイクされていたらしく、DVDで観る事が出来る。評判はあまり芳しくなんだが、なんとあのデニス・ホッパーが神様役で出演だと!?なにいい!?

タイタンの戦い 予告編


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