『ザ・ウォーカー』はヒャッハーな未来の映画だった!?

ザ・ウォーカー (監督:アレン・ヒューズ 2010年アメリカ映画)

■ヒャッハーな未来!

核戦争後の未来!それは腐海が広がり北斗神拳が炸裂し猿が言葉を喋りガソリンを巡って暴走族が暴れスカイネットと人類が戦い生き残った人々の住むメルボルンの町では自殺薬が配られストレンジラブ博士が車椅子から立ち上がって「総統!歩けます!」と言う未来!一部の人々はこれを《ヒャッハーな未来》と呼ぶ!ヒャッハー、それはアナーキズム!ヒャッハー、それはバイオレンス!ヒャッハー、それはモヒカン頭!そう、限りなく中学生並の知性を持つものが鼻くそほじりながら憧れる夢の世界、それが《ヒャッハーな未来》なのだ!そしてこの”ヒャッハー未来史”に新たな1ページをナニした映画、それが映画『ザ・ウォーカー』なのだ!

■こんな《世界で最後の本》は嫌だ!?

俺は…ある本を持って旅をしていた。その本は破滅した世界で、たった1冊だけ残された貴重な本だ。俺の使命は、この本を血に飢えた暴徒の手から守り、西へ行くこと。その旅は既に30年になろうとしていた。しかし実は、この本を誰に、何のために届けるのか、そして命を掛けてまで守らなければならないこの本の正体が何なのか、俺は知らないままでいた。だから俺は今日、鍵の掛かったこの本を、開けてみてみることにしたのだ。そして開かれたページに記されていたタイトル、それは…
・世界で最後の本、それはメンズナックルだった!
・世界で最後の本、それは小悪魔agehaだった!
・世界で最後の本、それは江原啓之のスピリチュアル本だった!
・世界で最後の本、それはたこ八郎自叙伝だった!
・世界で最後の本、それは勝間和代の『結局、女はキレイが勝ち』だった!
・世界で最後の本、それはananの『セックスできれいになる特集』だった!
・世界で最後の本、それは『宇宙人の死体写真集』だった!
・世界で最後の本、それは漫☆画太郎の『珍遊記だった!
・世界で最後の本、それは横山まさみちの『やる気まんまん』だった!
・世界で最後の本、それは山川純一の『くそみそテクニックだった!

■雰囲気映画だった!

というわけで映画『ザ・ウォーカー』である。やはり一人のヒャッハー・マニアとしては瓦礫となった街やどこまでも続く荒野の情景にまずキンタマ鷲掴みですな!モノクロに近いトーンで描かれた映像が実に綺麗なんですわ。デンゼル君演じる主人公は物静かな雰囲気を醸し出しながら、いざ敵が襲い掛かってくるとサバイバルナイフ一丁でザックザックと相手をなぎ倒します。この辺日本の侍っぽくていいですな。映画後半では銃も撃ったりしますが、出来るなら最後までサバイバルナイフだけで戦って欲しかったです。本の正体はちょっと考えるとすぐ判っちゃいますが、まあ欧米文化圏では日本人が考えるよりも重要なことなんでしょうな。その辺日本人にはどうでもいいっちゃあどうでもいい話なので多少白けるかもな。それと破滅後の世界の情感を出したかったのか、引きの映像で風景ばっかり撮るのに力が入ってたりと全体的に間延びした演出で、そういった点で締りの無い映画に見えてしまう部分もあります。オレとしては全体的な雰囲気は好きでしたな。ある意味雰囲気だけの映画とも言えるけどね。そういう映画でありました。

ザ・ウォーカー 予告篇