『吸血少女対少女フランケン 』は学園アホアホラブコメグログロ美少女スプラッターだったッ!?

■吸血少女対少女フランケン (監督:友松直之・西村喜廣 2009年日本映画)


吸血少女が夜に踊る!少女フランケンが闇に吠える!血の海の中で哄笑を上げる吸血少女!継ぎ接ぎの皮膚からビスを輝かせる少女フランケン!二人の少女が激突するとき、地獄の釜が口を開く!サンダvsガイラ、フレディvsジェイソン、エイリアンvsプレデター、ドラゴンvs7人の吸血鬼、トランザム7000vs激突パトカー軍団…に継ぐ血塗れモンスター・ヴァーサス・シリーズ、それがこの学園アホアホラブコメグログロ美少女スプラッター『吸血少女対少女フランケン』なのである!やんややんや!(このネタ昔やったことあるな…)

ざっくり物語を説明すると、クラスのカックイイ男子・水島クン(斎藤工)を巡り、ヴァンパイアの少女・もなみ(川村ゆきえ)と、もなみと争って死んだ後にマッドサイエンティストの父に少女フランケンとして蘇らされたけい子(乙黒えり)が《恋の大攻防戦》を繰り広げるというもんなんですな。《恋の大攻防戦》とは言いますがそこはグログロ・スプラッター、血しぶきが舞い切り株が花開き臓物が踊り、最後はなんだかもう「遊星からの物体X」と化した少女フランケンけい子が吸血少女もなみを相手に東京タワーで暴れまくるという、とんでもない展開となっております。

バレンタインチョコだの恋の鞘当てだの、単なるラブコメ展開だけなら退屈なシチュエーションでしかないオハナシなんですが、ここにハチャメチャなスプラッター要素を加味することで、ラブコメ展開がいい意味でケレン味を生んでいるんですな。「あなたといつまでも一緒にいたいからあなたをヴァンパイアにしたいの」という、もなみの水島クンへの想いも、ある意味ピュアな恋心ゆえであり、ヴァンパイア+ラブコメという設定が綺麗に生きていて好感が持てます。俳優たちの演技は拙いものですが、これがチープでモンドなスプラッター映画なんだと思えば逆に味わいもあるというもの。カックイイ男子・水島クンが恋に暴走する女子たちへ、心のなかで的確なツッコミを入れながら困惑する様もまたおかしくて、脚本にちょっとしたセンスを感じました。

そしてなにより学校には「リスカ部」だの「ガングロ部」だの奇怪なクラブが存在し、これが異様なテンションで暴走してみせるのが実に可笑しい!最初は単なるネタなんだと思って笑って観てましたが、これが後で物語にきちんと絡んでくるところも上手いなあと思いました。それともなみのしもべ、イゴールとして出演しているジジ・ぶうなる俳優が実に怪しい風体をしていて目が離せなかった!頭から骸骨被った用務員ってなんなんだいったい。ただマッドサイエンティストがなんで自来也の格好をしているのか全然意味が分からなかったんだが…。

噴水のように血しぶきが飛び、ありとあらゆる肉体破壊の様子が楽しめるスプラッターでありましたが、ちょっと気になったのは少女フランケン・けい子がグロいだけで全然綺麗に撮られていないところ。今回、友松直之と西村喜廣という共同監督で作られたようなんですが、友松直之は吸血少女もなみパートを撮り、これは女優の持ち味を生かして可愛らしく撮られていたのに、少女フランケンパートの西村喜廣のほうは、演じる乙黒えりをゴテゴテと特殊メイクで塗りつぶすだけで、女優そのものの魅力を少しも引き出していないように見えた。やっぱ美少女に萌えてこその美少女スプラッターでしょ!西村喜廣は特殊メイクの作り手として有名らしいのですが、特殊メイクは得意でも女性は得意じゃないのかしらん、と思いましたよ。これまで観たいろんな国産美少女スプラッターホラーというのも、どうも女優さんを綺麗に撮っていないように感じるんですが、これってこのジャンルの今後の課題のような気がしますねえ。

■吸血少女対少女フランケン 予告編


吸血少女対少女フランケン BLOOD STAINED EDITION [DVD]

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