『マックス・ペイン』はなんだかありがちなアクション映画だった!

マックス・ペイン (監督:ジョン・ムーア 2008年アメリカ映画)


映画『マックス・ペイン』である。これは主人公の名前であるが、"物凄く痛い"という意味でもある。そう、主人公マックスは七色に染め分けたカーリーヘアーに風車を3本指し、ピンク色の全身タイツに金色のブルマ&金色のマント、そして両足にはキティちゃんのサンダルを履き、「ちんぴょろすぽーん!」などと喚きながら近所の商店街を練り歩き、肉屋の爺さんに「だまれこのキチガイ!」などと怒鳴られては水をぶっ掛けられるイタイ人なのである…というのは冗談で、妻子を殺された主人公刑事の"物凄く痛い"心を表しているのである。その心の痛みは激しい復讐心に変わり、阿修羅の如く犯人を追い詰めるのだ!という物語なのである。

しかし誠に気の毒だとは思うが今日び「妻子を殺された恨み百年の主人公!」という設定だけではありきたりすぎて物語としてはちょっと弱いのではないか。もっと過激な設定でもしないと昨今の目の肥えたアクション映画ファンの御仁も納得しないのではないかと思うのである。ここはやはり主人公の一族郎党全員が拷問強姦の上虐殺、死体は全部バラして豚の餌、主人公はチンチンを"怒りの1インチ"のみ残して切断された挙げ句、宇宙からきた悪の魔人ドルゲに全身をクチビルゲに改造されてしまうのである。
(↓怪人クチビルゲ)

しかも改造の失敗によりいつもお腹がユルく、その為四六時中紙おむつのお世話にならなければならないという屈辱を味わい続けなければならないのだ。おおなんという恐ろしい設定!これは確かに物凄く痛い!
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とまあ冗談はさておき、設定が弱いといいつつもそこそこ見せ場を作って盛り上げようともしているのは確かだ。物語には巨大製薬会社が軍事目的で最強兵士を作るための怪しいドラッグを闇で製造していた、なーんてプロットも挟まり、主人公の妻子が殺された背景に巨悪の陰謀が係わっていたことが明らかになってくるのである。そしてこのドラッグを摂取した連中がバッサバッサと羽ばたく鳥人間の幻覚を見、それに悩まされるのである。なんでみんなでおんなじ幻覚を見るのかはさっぱりわからないのだが、映画にオカルトっぽい禍々しさを持ち込んで、凡庸な物語をなんとか盛り上げようとしている。

ところでこの映画はサード・パーソン・シューティング(TPS)と呼ばれるジャンルのPCゲームの映画化で、実はオレも1作目2作目とプレイしてたりするのだが、銃撃戦の最中キー操作により画面をスローモーションにすることが出来る"バレット・タイム"と呼ばれるゲーム・システムが斬新であった。この映画的な演出が映画化された要因かもしれないが、既に銃撃戦でのスローモーションなんて映画では当たり前のことなので、映画化してもそれほど新鮮味が無かった、ということかもしれない。基本的には銃撃戦がメインなTPSゲームを無理矢理映画にしようとして、こんなやっつけ仕事みたいなシナリオになってしまったのだろう。

MAX PAYNE 2:FALL OF MAX PAYNE (輸入版)

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Max Payne 3 (輸入版)

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