■バンク・ジョブ (監督:ロジャー・ドナルドソン 2008年イギリス映画)
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なにしろ基本的に悪党しか出てこないというお話が面白い。こういった物語では悪党同士の虚々実々の駆け引きや騙し合いが描かれ、案外血腥くて後味の悪い物語になってしまうんだが、この映画では主人公である銀行強盗犯たちにイギリス映画らしい泥臭い生活感があり感情移入しやすいのと、そしてなんといっても主役のジェイソン・ステイサムのいつものむさ苦しい顔がカッコよくて、小悪党対大悪党の戦いの小悪党側をついつい応援したくなるのだ。追い詰められた銀行強盗犯たちが最期に逆襲に転じ、大悪党らを潰し合いさせるクライマックスも鮮やかで小気味いい。良作です。
■フェイクシティ ある男のルール (監督:デヴィッド・エアー 2008年アメリカ映画)
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昔からこういった刑事物語ってサラリーマン・ストーリーの変形だと思ってるんですよ。犯罪を追う刑事、というのは観る者のそれぞれの、自らの職務への義務感や責任感や熱意なんかの表れで、そして犯罪や事件というのは自分が直面する困難な(またはいつもの)職務、ということなんじゃないのかな。で、事件解決が困難に満ちているほど、それを解決する為の努力や解決する達成感は大きいわけですから、そんなところに観ている人は自分の仕事というものを重ね合わせてカタルシスを覚えるんじゃないのかな、と。だからとことん正義を追う熱血警官好きの人も仕事では熱血なんだろうなあとか思っちゃいますが、オレは基本インチキなので熱血見てもあんまりピンとこないというか。でも『ザ・バンク』は面白かったが、あれは仕事、というよりシステムそのものと戦っているのがオレには面白かったのかも。