下町に河豚を食べに行った


相方さんの誕生日のお祝いに、ちょっと気張ったところで食事でもしようということになり、相方さんに「何を食べたい?」と訪ねたら、「ふぐ!」と即答。ふぐといってもピンキリだしどんな所が美味しいんだろう…と思って「美味しいふぐの店」をネットで検索したら一発で出てきたのが今回行ったお店「ふぐ料理 はしもと」です。赤坂の高級料亭、銀座の老舗の店という庶民にはオッカナイお店と並んで、「リーズナブルで美味しい下町のふぐ料理店」として紹介されていたんです。赤坂や銀座で奢った料理食べるよりも下町でふぐ、という所が素敵じゃないですか。そんなわけで1ヶ月前に予約を入れ、この間の土曜日、二人してふぐを食べにいざ出陣!と相成ったわけであります。

このお店「はしもと」は浅草からちょっと歩いた場所にあり、東京都墨田区向島、隅田川にかかる桜橋の袂、向島料亭街の中心に位置するお店です。なんでも昔、浅草の花街と呼ばれる遊郭や芸者屋の集まっていた場所に行く若旦那がちょいと料理を味わう場所として料亭街が出来ていたんだそうです。そういった意味では歴史の古い場所ということが出来ますね。

浅草には予約時間より早めに着いたので相方さんと二人、言問橋を渡って牛嶋神社という神社を観て回ったり、「見番通り」と呼ばれる通りや隅田川の川辺を散策したりして時間をつぶしていました。下町の界隈はなんだか落ち着きますね。

予約していた時間になったので「はしもと」に到着。ご夫婦二人でやってらっしゃるようですが、こじんまりして明るく清潔なお店でした。この日注文したのは「夏ふぐコース」、とらふぐちり付で全品天然とらふぐ使用というコースです。最初はビールを頼んで料理の到着を待ちました。実はきちんとしたふぐ、しかもとらふぐなんか食べるのは初めてで、とてもわくわくしておりました。
という訳で以下にこの日の料理の写真を載せておきます。

◆ふぐのにこごり、ふぐの霜ふり

最初に出てきたのがこの二品。「ふぐのにこごり」はにこごりのとろける食感がいいですね。そして「ふぐの霜ふり」。湯がいたふぐの酢味噌和えですが、ふぐの弾力ある歯ごたえにびっくり。ふぐってこんな歯ごたえだったんですね。
 

◆天然とらふぐさし

出てきました、「ふぐさし」です。ふぐ知らずのオレは、ふぐというのは殆ど味の無い淡白なもので、いってみれば歯ざわりを楽しむものだとばかり思ってましたが、噛めば噛むほどに柔らかな味わいが沁み出し、じんわりと美味さが伝わってくるので驚きました。そして、これはどの料理でもそうでしたが、ふぐという魚は少しも魚臭さ、生臭さがないんですね。なにか魚とも畜肉とも違う、別の次元の肉類のような気さえしました。この上品さがふぐを高級魚としている理由なんでしょう。

◆天然とらふぐの唐揚げ

からっと揚がったふぐの唐揚げ。骨付きのまま揚げてあり、絞ったゆずをかけていただきます。油の香ばしさとふぐの食感が楽しめます。

◆天然とらふぐの炭火焼

炭火とふぐが出てきました。しょうゆ味のふぐの漬け汁はそのままだと殆ど味はしないのに、炭火でゆっくり炙っていただくとこれが微妙な加減でふぐに柔らかい味となって滲みていてびっくり。淡白なふぐにあるかないかのぎりぎりの味付けが成されているのが凄いと思いました。
 

◆ふぐ白子焼き

実はこの日、店主さんに無理を言ってコースには入っていない「ふぐ白子焼き」を加えてもらいました。店主さんには他の料理の量を若干減らしてコースの予算内で入れましょう、と快諾していただけました。だから今回の料理写真は実際のコースだともう少し量が多めの筈です。さて、白子ですが、これがまたふわっとした上品なお味で、口の中でとろけるようでした。

◆ひれ酒

この辺でふぐのひれ酒を注文。炙ったふぐのひれが入っているんですが、これが絶品!酒の匂いがまるでしなくて、炙ったふぐの香ばしさが立ち上り、さらっとしているんです。これは本当に美味しかった。あまりの美味さに何杯も呑んでしまいそうでやばかったです。

◆ふぐ寿司

ふぐの身のお寿司。軍艦巻きになっているのはふぐの白子です。勿論美味しかったのですが、軍艦巻きの海苔が今まで食べたことが無いような美味しい海苔でびっくりしました。

◆天然とらふぐちり

ふぐといえばふぐちりです。もうここまでくると矢でも鉄砲でも持って来い!といった相当贅沢な気分に浸りまくっていましたね。そしてこれも、鍋の具材である豆腐や白菜が異様に美味い。白菜ってこんなだったっけ?と思えたぐらいです。さっきの海苔もそうですが、この店の仕入れの素晴らしさが伺えるようです。
 
  

◆獺祭 純米大吟醸50

乗りに乗って純米大吟醸を注文。そしてこれがまたフルーティーなお味で日本酒臭さがまるでなく、水のようにするすると呑めてしまうんです。実はオレは日本酒が苦手でまるで呑まないんですが、こんな酒だったら毎日呑みたくなるほどに絶品でありました。(獺祭 純米大吟醸50 旭酒造株式会社HP

◆雑炊セット

ふぐちりの鍋が片付けられて、その鍋から店主さんに雑炊を作っていただきます。そしてこの雑炊がまた美味い!料亭の雑炊とでも言うんでしょうか、雑炊にありがちないろんな味の混ざっちゃった濁った味ではなく、雑炊なのにあっさりさらっとしているんです。ふぐ料理屋、雑炊でさえ凄いんです。

◆抹茶アイス

最後はさっぱりと抹茶アイス。ごちそうさまでした。

…いやー、食べ終えて、「本当に美味しいもの」の凄さをまざまざと見せられたようなふぐ料理尽くしでした。一緒に行った相方さんと、一口食べては「美味い美味い!」「ヤヴァイヤヴァイ!」と騒ぎまくり、この日は「美味い」という言葉を100回ぐらい言ったような気さえします。これも全て店主さんの腕と食材の仕入れの素晴らしさによるものなのでしょう。そしてこの店はこんな美味しいふぐ料理を、ふぐ料理としては破格の値段で提供しているんです。店主さんの男気さえ感じられるような最高の料理でした。ふぐ、美味しいですよ。みなさんも是非食べに行ってみてください。

◆ふぐ料理 はしもと


〒131-0033 東京都墨田区向島5-27-15
TEL:03-5608-4473
HP:http://members2.jcom.home.ne.jp/fugufugufugu/
ぐるなびhttp://r.gnavi.co.jp/a429400/