ウィル・フェレルの新作はしょーもないアラフォー・ニートの義兄弟が主人公だった!?

■俺たちステップブラザース〈義兄弟〉 (監督:アダム・マッケイ 2008年アメリカ映画)

俺たちフィギュアスケーター』『俺たちダンクシューター』のウィル・フェレル主演のコメディ。ウィル・フェレルといえばアメリカでは相当のヒットメーカーだが日本ではコメディはウケないと判断されて未公開作だらけ、それでも『俺フィギ』のヒットでやっと認知度が上がったかと思っていたら、今作『俺ステ』もやっぱりDVDスルー。バカ映画ファンとしては寂しい限りである。

しかしこの『俺ステ』、つまんない映画では決してない。むしろ『俺フィギ』や『俺ダン』の波に乗って作られた快作バカ映画という事が出来る。お話は親の再婚で一緒に住むことになったそれぞれの連れ子ブレナン(ウィル・フェレル)とデール(ジョン・C・ライリー)、なんとこの二人、揃いも揃ってアラフォーでニート、「仕事をしたら負けだと思ってますから」と言わんばかりのボンクラ野郎たちだった!?というもの。ジョン・C・ライリーウィル・フェレル映画『タラテガ・ナイト オーバルの狼』でも共演しているね。また映画ではウィル・フェレルは製作総指揮/原案/脚本/出演を兼ねていたりする。

で、このアラフォー・ニート・ブラザース、小汚いオッサン顔をデカイ図体に乗っけてるくせに性格も嗜好も行動も全てガキ、我が強くてワガママで、やることなすこと無茶苦茶という、現実に目の前に現れたら悪夢だろうなーと思うほどのダメダメぶり。このダメ中年二人が出会いがしらにメンチ切り合い、TVのチャンネルがどうとか俺の宝物を触ったとかレベルの低いことで取っ組み合いの大喧嘩。と思えばすぐに友情が芽生え肩を抱き合って「お前いいヤツだな」…っていったいどんだけ夕焼け番長やねん!さらに近所の小学生連中には「うんこ中年」呼ばわりされ、集団でボコられて半べそかきながら家に逃げ帰るオッサン二人・・・あんたら情けなさすぎだよ…。

さて熱い友情の芽生えた二人に立ちはだかる敵がブレナンの弟デレク(アダム・スコット)。これがもうバリバリの上昇志向、いつも自信満々で自慢話だらけの厭味な男だが、なにしろしこたま金稼いでいるのでニート・ブラザース二人を虫みたいに見下しまくる。この弟デレクのいやらしさ加減がどうにもムカムカさせてくれて素晴らしい。やっぱり人生スキル・アップが大切ですよねデレク先生!さらに両親には仕事に就かないと家から追い出すと尻を叩かれ絶体絶命のニート・ブラザース!仕方なくあれこれ探してみるが世の中の常識なんてな〜んも分からないんでことごとく全滅…ニート・ブラザースに明日はあるのか!?

顔も性格も暑苦しく、行動も下等生物みのボンクラ過ぎる主人公達が巻き起こす、ろくでもない行動の数々にまずギャハハと笑わされるが、観ていて「ああこんなバカやりてえ…」とうっとりしながら思ってしまったオレは既にステップ・ブラザースの心の義兄弟入りなのは間違いない。木の上の家とか憧れたよなー。秘密基地みたいでさー。受難続きのステップ・ブラザースは現実に目覚めその後苦労を重ねながらそれぞれの成功を手に入れるが、世の中そんなうまくいくわきゃないだろ!といういかにもなアメリカ映画的展開はさておいて、ボンクラでもニートでもやれば出来るんですよ?やらないだけで!あーボンクラ最高!というしょーもないメッセージがそこにはあったかもしれない。…無いかもしれない。