それはもっとしょーもなかった!

しょーもない話の続き。
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A君はかねてからソファベッドに憧れていた。理由は分からないが兎に角憧れていたのだ。やっと予算の目途が立ち、念願のソファベッドを購入、A君は部屋に業者がソファベッドを運び込むのをワクワクしながら眺めていた。さて設置も終了、その場で試しにソファからベッドへ変形しようといじくってみたら、なんとそのソファベッド、どうにも平らなベッドにならない。微妙な角度の付いた緩いVの字型になってそれっきり止まってしまうのだ。当然だが寝られやしない。
これじゃあ困るとA君、立ち会っていた業者に交換を要求、そのソファベッドは持ち帰られることになった。そして後日、改めて別のソファベッドが届けられる。やれやれと思いながら再びソファベッドを設置してもらい、取り合えずソファをベッドに変形させてみる。するとなんと、またまたベッドが平らにならないではないか。この間と同じように緩いVの字型にしか開かないのだ。おいおいと思ってA君、2回目じゃないですか勘弁して下さいよ、こんなんじゃ受け取れませんよ、と業者に苦情を言い、当然ながらまたまた返品交換してもらうことに。
さらに後日。A君の部屋に3度目のソファベッド搬入が行われる。設置が済んだ後いくらなんでも今度こそ大丈夫だろ、と思いつつ念の為にベッドへと平らにしてみるが…なんと、またまたベッドは平らにならない!いつもは温和なA君も度重なる業者の不手際に堪忍袋の緒が切れて遂にブチギレ、こりゃいったいどういうことだ、何度も何度も不良品ばかりばかり持って来やがって、フザケてんのかやる気アンのかオイコラテメコラと、持ってきた業者に怒鳴り散らす。
怒り心頭のA君はさらに業者の営業担当を連れてこさせ、お前ん所はどうなってんだ、一度ならずも二度三度、全くいったいどういう仕事してるんだ、とコンコンと営業担当に文句の嵐をぶちかます。業者の営業担当は平身低頭、申し訳ございません申し訳ございませんと平謝りに謝り続けた。A君はなんとか気をとり直し、改めてソファベッドを納品させ、今度こそ故障や不良の問題は無く、散々な目に遭いながらもA君はやっと念願のソファベットで安眠できることになったのだ。
しかし話はここで終りではない。数ヵ月後だったか数年後だったかは聞いてて忘れたが、A君の近所に住むかつての同級生の女の子が結婚することになり、友人同士の祝賀パーティーをやるからというので参加することになったのらしい。そしてパーティー会場に赴くと、新婦であるかつての同級生の女の子を見つけてお祝いの言葉を掛けてあげていた。そしてその女の子がA君に、そうそう、結婚した相手を紹介しなきゃね、と他の知り合いを相手にしていた新郎をA君の元に連れてきた。
A君は新郎の顔を見るなり固まってしまった。なんとその新郎、以前ソファベッド不良品事件で呼び出して、A君が散々怒鳴り散らした業者の営業担当氏だったのである。そんな相手を友人の新しい旦那として紹介され、居心地が悪いのなんの、いやーな汗がそこかしこから噴き出し、「あ、どうもオメデトゴザイマス…」などとお座なりにお祝いを述べてみても、早くここから逃げ出したい気持ちで一杯だったという。そんなA君の様子を隣で見ながら新婦である友人女子がニッコリ笑って一言。「これからは旦那をいじめないであげてね!」…どうもこの友人女子、A君のソファベッド不良事件のことを新しい旦那から聞いて知っていたのらしい!
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最後にもうひとつ。
子供時代のA君、信号が赤に変わったばかりの交差点をあわてて自転車で横切ろうとした所、信号が変わって発車したばかりの車に横から撥ねられてしまう。急停車した車から運転手がおろおろしながら降りてきてA君に声を掛けようと寄って来たが、A君は倒れた自転車を起こして飛び乗ると、脱兎の如くそこから逃げ出したという。なんでも車にぶつかり気が動転して取り合えず逃げた!ということなのらしい。その時A君の友人のB君も自転車で先を走っていたらしいのだが、なんだなんだ?と怪訝そうにしていたそのB君までぶっちぎっての疾走だったという。「いや、信号無視したの僕だったんで、僕の責任の事故だー!ととっさに思っちゃったみたいなんデス。あと親父にバレるとまた竹刀食らうし…」とA君は語った。