最近読んだマンガなど本など。

うつうつひでお日記 その後 / 吾妻ひでお

うつうつひでお日記 その後 (単行本コミックス)

うつうつひでお日記 その後 (単行本コミックス)

失踪日記」「逃亡日記」「うつうつひでお日記」と好調に日記作家の道を歩む(?)吾妻さんの最新日記。吾妻さんの公式HPで書かれていたものをまとめたものだとか。最初は普通に日々の事を書いていたのに、段々と妄想の美少女が百花繚乱となって紙面に舞う妄想絵日記になってゆくところが吾妻さんらしい。日々の出来事と言っても、何を食べたとか近所徘徊したとか本屋行ったとかちょっぴり鬱になったとか、短くて淡々としたものだけれども、どこか微妙に味がある。その中でも圧巻なのが吾妻さんの読書量で、一日二冊は読んでるんではないかなあ。そしてそれらの本の一言程度の寸評を書いているのだけれども、これが吾妻フィルターを通っていることを意識すると、短い文章なのに何故かとても説得力があるから不思議だ。

■おれは魔物とくらしてる ルノアール兄弟作品集 / ルノアール兄弟

おれは魔物とくらしてる ルノアール兄弟作品集

おれは魔物とくらしてる ルノアール兄弟作品集

吉田戦車しりあがり寿あたりのシュールな絵柄と物語設定、そして「稲中」の童貞中学生的ルサンチマンが美しく情けなく結晶した実に可笑しいギャグマンガ短篇集。変な顔の変なキャラクターが総出演で、その歪みたわみ変形した容姿は、鬱屈と過剰さという心理が肉体へと表出したクローネンバーグ的モンスターの変奏曲に他ならない。あまりに変すぎて同じく変であるオレは親近感と同族嫌悪を同時に覚えるというアンビバレンツな愛憎にむせび泣いた。いやゲラゲラ笑った。普通シモネタは下品になって当たり前だが、なぜかルノアール兄弟のそれは超現実的な妄想へと暴走するばかりで、決して対象としての異性を求めたりはしない。そこに超越した達観を感じる。童貞の。

ルノアール兄弟の愛した大童貞 / ルノアール兄弟

ルノアール兄弟の愛した大童貞(1) (シリウスKC)

ルノアール兄弟の愛した大童貞(1) (シリウスKC)

ブサイク!非モテ!童貞!ニート!そしてバカ!ありとあらゆる業罪を背負いながら持てる体力の全てをまるで見当違いの方向へと費やしまくる無駄と無意味のアラベスク。もはや確信犯的に駄目でいいんだと胸を張るその根拠の無い楽観主義と開き直りが既に芸術的な域にまで達した崇高なるサイテーギャグマンガ。たゆまざる自嘲と自己否定、身を苛む煩悩と執着という辛苦の果てに見出した宇宙的真理は卑俗な現世を突き抜けて誰一人理解できない狂気にも似た悟りと意識変容を童貞たちにもたらす。そう、その時人は童貞の殻を脱ぎ捨て、恒久たる栄光に満ちた《大童貞》へと解脱するのだ。ま、煎じ詰めて言うならぐわははははこのマンガおもしれえ!ということなのである。

※これがルノワール兄弟の描く絵だ!



■ジャバウォッキー(6) / 久正人

ジャバウォッキー(6) (マガジンZKC)

ジャバウォッキー(6) (マガジンZKC)

現在も密かに生き続ける恐竜人間たちと人間世界との確執を描いたサイバーパンク・スパイ・ストーリーの最新刊。絵・物語とも相変わらずの高クオリティーで展開される内容はさすがの一言。物語的には「モビーディック篇」が終わって「アメリカ篇」に変わったところだが、「モビーディック篇」はもうちょっと長くてもよかったかな。二人のヒロインの対立と和睦の物語は面白かったね。「アメリカ篇」では早速あの有名人が出てきてニタニタと笑わされた。

GANTZ (24) / 奥浩哉

GANTZ 24 (ヤングジャンプコミックス)

GANTZ 24 (ヤングジャンプコミックス)

「大阪道頓堀篇」もいよいよ(というかやっと)佳境に入ってきたが、一殺百点の"最強星人”というもはや戦闘力インフレーションの極地まで行った相手とどう戦うんだ?と心配していたら、いきなりのデウス・エクス・マキナ登場!しかしこれはこれでカッコよかったし、ある意味流れを変えたということでよかったことにしておこう。何故かさっさと退散しちゃったし。こういうの出しちゃうともう後は無いけどね。で、この後どうなるんだ!?