インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国 (監督:スティーヴン・スピルバーグ 2008年アメリカ映画)

あのインディ・ジョーンズが19年ぶりにスクリーンにカムバック!という『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』ですが、『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』が1981年の製作で、『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』が1984年、『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』 が1989年製作、という訳で、一作目からだと27年越しのシリーズということになるんですよねえ。主演のハリソン・フォードはもう65だし、もはや飛んだり跳ねたりさせるのは痛々しい歳の様な気がするが…。
オレもこのシリーズはとても好きで、ビデオやDVDでそれこそ飽きるほど観ていますが、一番のお気に入りは二作目の『魔宮の伝説』でしょうかね。一作目のヒットで気をよくしたスピとルーカスが悪乗りしまくって作ったかのようなハチャメチャさが好きなんですよ。もう全篇やり過ぎと悪趣味のオンパレード。才能ある人間がおバカの限りを尽くすとそれは天才の領域に達してしまう、という素晴らしい展開だったと思います。
ただ、”インディ・ジョーンズ・サーガ”としては三作目の『最後の聖戦』で終わっているような気がするなあ。じゃあこの『クリスタル・スカルの王国』はなんだったのかというと、結局《同窓会》なんでしょうねえ。勿論スピ・ルーカス&フォードの同窓会ですからタダでは済まされませんが、例えて言うなら超有名人気ロック・グループが解散後数十年の時を経て再結成したかのような雰囲気とでもいいますか。
で、この再結成バンドは、当時からの根強いオールド・ファンや、解散後その実力を知ってファンになった若い世代なんかは大喜びで、実力もありますから再結成第一弾アルバムも凱旋コンサートも大好評で物凄く好意を持って受け入れられるというわけなんですよ。ただやっぱり、絶頂期の勢いはもはや無いし、時流から見るとちょっとメイン・ストリームの音楽からは外れているんですね。だから、悪くは無いんだけれど、最新スタイルの音楽と比べたらよく言えば大らか、悪く言うと締りが足りない、ということになってしまうんです。
だから面白かったと言えば面白かったんだけれども、しっかり型の出来たスタイル一歩も外れていない、予想を外れない、言ってみれば伝統芸能を見せられているような気分になってしまいましたな。だからこの『クリスタル・スカル』を面白さと言う点で今年公開された『クローバーフィールド』や『ミスト』と比べたら、断然『クローバー〜』と『ミスト』のほうに軍杯が上がってしまうんですよ。実はこれって由々しきことですよ?だってスピ・ルーカス&フォードの映画は、常に最強で無ければならなかったわけですから。
そういった意味ではやはり時代を感じてしまう映画なんですよねえ。いや、オレもインディの新作製作が発表された時は嬉しかったし、公開が決まった時はワクワクしたもんなんですがねえ。決して出来の悪い映画ではないんですが、少なくともハリソン・フォード主演のインディはこれが最後でいいと思いますよ。あと物語にちょっとだけケチ付けるなら、映画の舞台である1957年当時のアメリカの秘密施設に武装したソ連軍が侵入し、当直アメリカ兵を皆殺しにする、なんていう冒頭は、これ、普通に米ソ全面核戦争に突入し得る重大な事件ですよ?ま、インディ・シリーズは基本的にアバウトな政治解釈なんで見逃しますがねえ…。

インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国 予告編