犀の女

最初の出会いは
あの曲がり角での
正面衝突
君は犀のように突進し
僕は人工衛星のように宙を舞った
目の前に星が散ったから
それはあながち間違いじゃない
もう少し速度があったら
僕は永遠に軌道を巡っていたことだろう

倒れた僕の前で仁王立ちする君
目を上げると
君はまるで
モンゴルの戦士のように肩で息をし
その吐く息は地獄の獣のように熱く
いぶかしげなその眼差しは
炉の中の黒炭のようにいぶっていた
そしてその姿はやはり犀
アフリカの草原を駆け巡る
強く雄雄しく巨大な犀
気高く何者にも動じない
犀そのものの姿だった

僕は君の双眸を見つめながら
アフリカの黒い人たちの奏でる
タムタムとハミングの音を聴いた
夜ジャングルの木々を巡る
獣たちの吼え声を聴いた

そうさ そしてその時
僕は君に恋をしてしまったんだよ

犀の女
犀の女
君はたくましい
犀の女
いつか君と
アフリカのサバンナを駆け巡りたい
キリマンジャロの麓でまどろみたい
南十字星の露を飲み
バナナの茂みで口付けし
ナイルのほとりで目覚めたい

(女ボディービルダーTATIANAに捧げる)