あらゆる物音が異常なまでに大きく聞こえてしまう男の悲劇。…と書くとなんだか面白そうなんだが、最初っから御終いまでずっと、耳に響く大きな音に錯乱する男の姿ばかり描かれると飽きてしまうんだよな。物語は原作ありらしいが、アイディアそれ自体は面白いけど、「音が大きく聞こえる」というネタだけだったら作品の尺は30分、この作品みたいに60分の尺で撮るんなら途中から新たな展開を独自に入れるべきだったんじゃないかな。あと、生真面目に撮りすぎ。息子を亡くした悲しみがこういった強迫神経症じみた症状を発症させたという説明があるが、むしろ、「音が大きく聞こえる」という設定でいくらでもコメディタッチに描く事も可能だったわけで、逆に深刻ぶったお陰で作品表現の幅が狭まったとはいえないかな。監督ブラッド・アンダーソンは『セッション9』『マシニスト』を撮った人。う〜ん確かに両作とも端正な仕上がりだが破綻が少ない、言い換えるとハッタリかますスケベ心の足りないちょっと退屈な作品だったような気がするなあ。
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