リトル・チルドレン (監督:トッド・フィールド 2006年アメリカ映画)

リトル・チルドレン [DVD]

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”大人になりきれない大人たち”とかいう連中が不倫やっちゃってみたり釈放され町に戻ってきた小児性犯罪者を差別したりという物語である。冒頭から登場人物たちの心情を説明するナレーションが入りまくり実に白ける。そんなもの映像で表現しろよ。主題といい気取ったナレーションといいプチブルの白人が好みそうなヌルい文学趣味だよなあ、と思っていたらやはりブンガクショーセツの原作ありで、それも思いっきりどろどろの悲劇にもはっちゃけた喜劇にも出来ない、中途半端に人間性だの倫理だの民主主義だのを「ちょっと題材にしてみましたあ」程度の、所詮書生の戯言のような物語でしかないな。
だいたい”大人になりきれない大人”なんぞという主題が甘っちょろいし、そもそも”大人になりきれない”自分を謳歌している連中ばっかじゃん。で、じゃあそれに対する”大人”ってなんなの?という問いへの回答も無いわけで、んじゃあ”大人になりきれない”とかなんとかちっちゃい罪悪感をグダグダこねくり回していないで”大人じゃなくて何が悪い”ぐらいの開き直りをしてくれたほうが物語としてまだマシになるんじゃないかと思うんだけど。要するに思い切りが悪いのよ。不倫があったとしてもそれを否定するわけでも開き直って肯定するわけでもなく、元性犯罪者とそれをしつこく追い回す自警団もありていのドラマしか生み出さず、そのどちらも小市民的な民主主義の顔色を伺っているだけの”良識”についての物語でしかないのよ。この”良識”なるものの存在の可否が”大人”であることなのだとしたら、随分ちっちゃい物語だよな。だから中途半端な文学趣味にしか思えないのよ。
オレが常日頃バカだホラーだのと喚いてるのは、この程度の”良識”と”民主主義”をさもありなんと深刻ぶって、または訳知り顔で物語られるのが退屈でしゃあないからだ。この映画もいっそのことエロエロ不倫ドラマかゲロゲロ小児性愛者ホラーにしたほうがまだマシだったかもしれんな!