ブレラン・ファイナルカット観終わった

ファイナルカット観終わったよ。スゲエよ。凄過ぎるよ。これだけしか言葉がないと頭のよろしくないモノの言い方だが、実はいろんな言葉が湧き上がってきて整理できんのだ。物事を語りたくなる、というのはそれだけ想像力を刺激させる、ということだ。そして想像力を刺激させるものは、当然それ自体も想像力に満ちた作品なのだ。しかし、何度観たか分からない作品なのに、なんでこんなに興奮してしまうんだろう。
この『ファイナル・カット』は、デジタル技術によるブラッシュアップと、さらにどう考えても追加映像が幾つか施されているようで、見知っているはずなのに何かが違う、という思いが常にじりじりと頭の奥で蠢くのだ。画像のコントラストが大幅にアップし、細部までとてもよく再現されているのが大きな要因であるだろう。特にクライマックスのセバスチャン宅での死闘は、これまでのソフトでは暗くてボケボケにしか背景が観られなかったのが、このファイナルカットでは実にくっきりと観ることが出来る。
追加画像もこのクライマックスでは多いのではないか。1982年バージョンと比べると、まず、デッカードとプリスの戦いでは、プリスは”2回撃たれて”事切れる。ロイ・バッティが手に釘をさすシーンはより露骨に残酷なVFXが追加されている。さらにラスト、死せるバッティが手放した白い鳩が飛び立つのは、1stバージョンではなぜか雨上がりの青い空で、しかしこのシーンの後はそれまで通り暗く雨降りである、といったちぐはぐさを解消する為か、きちんと夜の暗い空に飛び立ってゆく。
さて監督さえもが嫌っている1stバージョンだが、この作品を一番最初に劇場で見たものとしては、実はその後出た他のバージョンよりもこの1stが一番好きだったりするのである。この1stのみ存在する、劇中挿入されるデッカードの説明的モノローグは、あまりに下手すぎて本国でも失笑のもとだったらしいが、オレは逆にB級ハードボイルドな雰囲気があって好きだった。そしてなにしろ、あの無理矢理なハッピーエンド。やはり「あれじゃおかしい」と思った人は多かったようだが、基本的にすべからく映画はハッピーエンドたるべし、と思っているオレにとってはあのラストが一番好きだ。だからこれの省かれた最終版を見たときは面食らったが、逆に、最終版しか知らない若い方がこの1stを観たらびっくりされるのではないだろうか。
なにしろもっときちんと観て研究してみたいと思わせる映画だ(まあやらないが)。そして、奇しくもこのファイナルカットが発売された日にちは、『男の魂に火をつけろ』のワッシュさんが100人以上のブロガーの方の投票から『映画オールタイムベストテン』をまとめ、その第1位がなんとこの『ブレードランナー』だった、ということが発表された日となんとなく重なるではないか(ま、単なる偶然だろうが)。
さて今回の5枚組DVDに収められた『ワークプリント版』というのは、実は公開前に試写用として製作されたもので、いわゆるラフカットなのだが、劇場公開された1stよりもより監督の製作意図に沿った形の『ブレードランナー』だったのだという。つまりこれこそが『真・ブレードランナー』だということもできるのだ。まだ少ししか観ていないのだが、冒頭のタイトルロゴからして違う!さらになんと、例の《二つで十分ですよ丼》の中身が鮮明に写っている!これ、ご飯にサンマみたいな細長い魚がまるまる二匹乗ってたぞ!確かにこれじゃ二つで十分だ!なにしろラフカットだから、その後カットされた未公開映像も満載のようだ。これはお宝だわー。それにしても尽きせぬ興味と興奮に満ちた『ブレードランナー25周年記念盤』。まだ買ってない人は今すぐアマゾンでポチれ!!