デスペレーション

スティーブン・キングのデスペレーション [DVD]

スティーブン・キングのデスペレーション [DVD]

スティーブン・キング短編シリーズ 8つの悪夢 》以外にもキング作品のDVDがリリースされていたのでこちらもおまけでレビューしちゃいましょう。
この《デスペレーション》は、ド田舎の道を車で走っていたら警官に止められ、あれこれ難癖付けられた挙句分署のある地元まで来いゴルァと連行されてみたらそこは死体の転がるゴーストタウンで、こいつ実は気が狂っていると気づいた瞬間いきなり同行者は射殺、そして生き残ったもう一人は怯えきった人々で埋まる牢屋に閉じ込められ…という物語。スティーブン・キング原作の長編をCTV用に映像化、監督はキューブリックじゃないほうの『シャイニング』を撮った人。物語はその後始原より存在する悪霊と神との代理戦争みたくなっちゃうんだが、あんまり信仰の大切さを訴えられてもニッポンジンとしては白けるだけなのは致し方ないか。でもキングって”光と闇の戦い”みたいなのって大好きだよね。昔の作品だと世界が滅亡しちゃう『ザ・スタンド』とか面白かったな。

これも原作は読んでましたが、ほぼ忠実に映像化されてはいるものの、原作で怖かったシーンに限って予算の都合なのかさらっと描いてしまっているから、言ってしまえば原作をなぞっただけの、”超訳”っぽい大雑把な仕上がりにしかなっていないのが実に残念。キング・ホラーは『IT』とか『ランゴリアーズ』とか『トミーノッカーズ』とかCTV用の映像化が結構多いんだが、どれも良くも悪くもありがちなB級ホラーにしかなっていないんだよなあ。まあ原作自体、お話だけ取り上げるとB級ホラーなんだけどね。

あとヒロインが、どこかで見た事あるなあ、と思ったらX-FILEシリーズの最後のあたりでレギュラーになったアナベス・ギッシュじゃないですか。それと悪霊に取り付かれた保安官役を『ロスト・チルドレン』『エイリアン4』『ヘルボーイ』のロン・バールマンが演じていて、これもいい味出していた。最初こいつの顔を『薔薇の名前』で観た時は「ヤヴァイ顔だなー」思ったが、見る程に愛嬌を感じる面白い顔してるんだよなあ。今ではすっかり由緒正しいブサ顔俳優として人気が定まって、なんだか嬉しい限りです。
【原作収録作】

デスペレーション〈上〉 (新潮文庫)

デスペレーション〈上〉 (新潮文庫)