スティーブン・キング短編シリーズ 8つの悪夢(ナイトメアズ)コレクターズ・ボックス(3枚組) [DVD]
- 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
- 発売日: 2007/10/12
- メディア: DVD
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《第1話》バトルグラウンド (原作:「戦場」)
玩具会社社長を暗殺した男が玩具の兵隊の逆襲を受けるという物語。ウィリアム・ハート主演。玩具が動き出して人間と戦う、なんてお話は『トイズ』や『スモール・ソルジャーズ』あたりで映画化されているし、ぞろぞろ動く全身緑色の玩具の兵隊はなんだか『トイ・ストーリー』と被っていて、着想や映像として目新しいものじゃないことは確かなんだが、玩具の敵が暗殺者だという事、マンションの一室に舞台が限定されているという事、そして最初から最後まで一切台詞が無いドラマだということ、この辺でとても面白く盛り上げていると思う。まあラストはやっぱり『スモール・ソルジャーズ』だったが…。しかし確かに既視感ありまくりの設定とはいえ、こういうブラック・ジョークっぽいお話って実にキングらしいと思った。
【原作収録作】
- 作者: スティーヴンキング,高畠文夫
- 出版社/メーカー: 扶桑社
- 発売日: 1988/05
- メディア: 文庫
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《第2話》クラウチ・エンド (原作:「クラウチ・エンド」)
新婚旅行でイギリスにやってきたアメリカ人カップルが、友人宅に行こうとして「クラウチ・エンド」という次元の狭間に存在する町に迷い込んでしまうというお話。原作は当初様々な作家によるクトゥルー神話アンソロジーに収められていたものだったと記憶しているが、この物語もキングの書いたクトゥルー神話ものということになっている。しかし原作はそれなりに禍々しさを湛えていたけれど、映像化されたこれはまるでスカスカ。本当の主役であるはずの”おぞましい町”「クラウチ・エンド」が、単に人気のない田舎町にしか見えず、その中で意味も無くカップルがわあわあ騒いでいるようにしか見えない所が全然ダメ。予算の関係かもしれないけど、ブルースクリーン使って町全部マットペインティングにしちゃってもよかったじゃん。多分監督がホラーとかVFXの使い方を判ってないのが最大の敗因じゃないかな。
【原作収録作】
- 作者: スティーヴンキング,Stephen King,永井淳,吉野美恵子,白石朗,小尾芙佐
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2000/03
- メディア: 単行本
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《第3話》アムニーのラスト・ケース (原作:「アムニー最後の事件」)
1930年代のアメリカに住む私立探偵アムニーはバリバリなハードボイルド野郎。その彼の元に「私が君を作った」という男が現れる。実は男は現代の小説家で、アムニーは彼の創作物だった…。作家が自らの虚構世界の中に入っていってしまう、という物語はよくあるけれど、その理由が家族を襲った不幸に耐え切れなくて、というところがこの物語のミソ。マンガチックな架空のハードボイルド世界と悲痛な現実とのコントラストがこの物語に不思議な奥行きを与えているんです。そして現実世界に行ってからも相変わらずぶっ飛んでいるハードボイルド探偵の様子がまた可笑しい。物語には一応の結末は付くのですが、探偵のキャラがとても立っているからもっとお話を膨らませる事ができる予感がするし、案外キングも中篇クラスの長さの作品の試作品として書いた原作だったのかもしれません。
【原作収録作】
- 作者: スティーヴンキング,Stephen King,永井淳,吉野美恵子,白石朗,小尾芙佐
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2000/03
- メディア: 単行本
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