映画館に行こう (その2)

■銀座・有楽町の映画館
映画を観る場所は有楽町が7割、新宿が2割、あとは渋谷あたりになるかな。住んでいる所から30分で行けるから、やっぱり有楽町が多いですね。そういえば上京したての頃、有楽町と銀座がほぼ同じ場所だということを知らなくて、田舎の人間には”銀座”のほうが名が知られているから、あの頃はまだ国鉄と呼ばれていたJRの駅に銀座が無いのが何故だか不思議だった。有楽町でロードショー館というとマリオンが有名だけれど、このビルが出来る前の旧日本劇場を知っているものとしては、マリオンが出来て初めてその中の映画館に入った時に、そのあまりの狭っ苦しさと簡素を通り越して愛想のまるで無い内装に辟易した覚えがある。今でもここにある映画館は、よく入るんだけれどあまり好きじゃない。
宝塚劇場に入っているスカラ座も、場所を移転する前のほうが好きだったな。今はシネコン風で味気ない。東銀座で降りて、歌舞伎座の向こう側にある、あれは松竹セントラルだったっけ?あそこも好きな劇場だったけど、無くなっちゃったな。ここで”好き”って言っている基準と言うのは、ちょっとだけ古っぽい、田舎モンだったオレが”東京の雰囲気がする映画館だなあ”と思っていた劇場だ。いつかも書いたけど、オレは今流行のキラキラビカビカしたシネコンという奴がどうも好きじゃない。落ち着かないからだ。シネコンは立ち見がないし、立ち見ははっきり言って嫌だけど、でも立ち見でごった返した劇場と言うのは、一種異様な熱気があって、映画というより何かのイベントに参加しているような興奮があったな。
今は漢気のある映画ばかりやっている銀座シネパトスが結構好きだったりします。銀座で映画を観た帰りによく寄っていたのがインド人の経営するカレーの店『ナイルレストラン』。ここのムルギーランチをいつも食べていました。ちなみに今回TOPの写真は久保靖夫氏による「消えゆく日劇、最後のショー 中央区銀座1981」。

■渋谷の映画館
渋谷の映画館には思い出はないなあ。でも旧ユーロスペースは好きだった。クローネンバーグの『ビデオドローム』やルネ・ラルーの『ファンタスティック・プラネット』は確かここで観たんじゃないかな。『ビデオドローム』は衝撃的な映画だった。オレはこの映画をユーロスペースに4回足を運んで観に行った。シネマライズもよく行った映画館だけれど、ここはどうもバブルの臭いがして、今入るとなんだか”尾羽打ち枯らした”といった風情でなんだか白ける。でもここで観たD・リンチの『ブルーベルベット』はやはり思い出深い。オレ、立ち見だったんですよ。あとシネマライズの系列の、ライズX。ここの設計どうなってるんだ。”サイテー映画館”の称号をあげたい位だ。
最近よく行くのはやっぱりシアターN渋谷。お蔵入りしかけていた『ホテル・ルワンダ』もゲロゲロホラー『ホステル』も公開しちゃう、という気風の良さには惚れちゃうものがある。

■新宿の映画館
新宿歌舞伎町の映画館というのは実は結構好きだったりする。繁華街のガチャガチャした雰囲気がそのままあって、文字通り《興行》って感じがするのだ。映画館に来るのも歌舞伎町で遊ぶのが好きそうな若い連中が多くて、ヤンチャだが映画は大好きなお子チャマ、って感じが見ていて微笑ましい。そして何より新宿の映画館はシネコン形式の映画館が殆ど無い。新宿でロードショー館といったらなんと言っても1064席ある『新宿ミラノ1』と1044席ある『新宿プラザ』だろう。日本に1000席を越える劇場がどれほどあるのかわからないが、1000席超というのは東京でも一番大きな劇場と言うことになるんではないか。とにかくドデカイ劇場でドデカイスクリーンでドカンと観たい!という時はここに足を運んでしまう。実際スクリーンの大きさを調べたわけではないから、ここが東京で一番スクリーンが大きいかどうかは判らないが。
ミニシアター系なら新宿武蔵野館がいい映画をやってるかな。それよりも、座席が69席という半端な数しかなく、おまけにスクリーンが畳ほどの大きさしかないロードショー館、新宿バルト9内の劇場は、閉所恐怖症になりそうな驚異の狭苦しさという点で、もう一つの”サイテー映画館”賞を授与したい!「こ、こ、これで1800円取るんですか!?」と我が目を疑うほどの狭さだった!