スポーツキル 地獄の殺戮ショー (監督:クレイグ・マクマホン 2007年 アメリカ映画)

先週の水曜日に観に行ったんですけどね。これレイトショーオンリーでやってるんですよ。で、行ったら、前売り買ってあったのに、窓口に「水曜日はサービスデー一律¥1000」とか書いてるじゃないですか。通常¥1800の所前売りは¥1300。しかしこの日は¥1000。この場合¥300の損ということになっちゃうんでしょうか?とまあ納得できないものを胸に抱え、一応受付けして整理番号だけ貰い、開演時間までメシ食う事にしたんですね。映画館の近くにジョ○サンがあったんでそこ入ったんですが、ファミレスなんて全く行かないので油断してましたが、ここホント美味しくないですねえ…。なんだかコンビニ弁当をレンジで温めて皿に移し変えただけみたいな味ですよねえ。実際冷凍食品暖めてるだけなんだろうなあ。でもこれでもいい値段取るんだよなあ。とまあまたもや納得できないものを胸に抱え、時間が来たので映画館入ったんです。

やっぱりねえ、レイトショーというのは「休みの日暇あったからちょっと映画観に行く」というのとは違い、その日その時間に、もう観る気満々の人ばかり来る訳ですよ。しかもシアターN渋谷で、やる映画はスプラッタホラーでしょ、そりゃもう濃いお客さんばかりですわ。多分皆さんロメロとかトビー・フーパーとかルチオ・フルチとかダリオ・アルジェントとかのホラーDVDを全巻揃え、朝な夕なに繰り返し観てはホラーの現在過去未来について熱く熱く語ってしまうようなツワモノばかりなんだろうなあ、などと想像すると、いつも日記で知ったかぶったホラー論なんぞを書いているオレなんぞは自らの底の浅さを痛感して思わず恥じてしまいそうになっちゃいますよ。実はオレ、フルチとアルジェントが苦手だという半端なホラーファンだし。

それにしてもスプラッタホラーファンばかりが集まるとやはり何かこう、殺伐とした雰囲気ですな。渋谷の駅前の映画館だというのに、既にもう場末の香りが漂っておりましたな。でもね、オレが昔から見知っていた映画館というのは、今流行のシネコンみたいにポップコーンキャラメルの甘ったるい匂いが立ち込めるキラキラフワフワしたもんじゃなくて、小便とシケモクの臭いがこびりついたやるせなくて孤独な場所だったんですけどね。世知辛い世の中から数時間だけでも逃避して夢を見る場所なら、それは当然やるせなくて孤独な場所なんですよ。そしてチューインガムとソーダ水を買うついでに売り子の黒人の女の子の名前訊いて、うざがられて支配人呼ばれちゃうんですな。これこそが男の映画館ですよ。

で、映画《スポーツキル 地獄の殺戮ショー》なんですけどね。拉致監禁してきた人間達に殺戮ショーを演じさせ、それを見守る観客達にその生と死の行方を賭けさせる死のゲーム、ということなんですね。でもタイトルからはどちらかが死ぬまで戦い合わされる闘技場のようなものを想像していたんですが、実際は殺される側が既に決まっており、これを命令通り殺す事ができるかどうかを賭けあう、ということになってるんですよ。だから闘技場と言うよりは拷問場って感じですかね。少なくともスポーツって感じではないんですね。

そして、命令を無視すると、その場で殺されるか、「木の棺」なる狭い迷路の中に閉じ込められるんですな。この「木の棺」というのが這って進むしかない高さで、でもちゃんと照明は点いてて綺麗な木造なんですな。やたら手間が掛かってるの。この「木の棺」での脱出劇が最初から普通に登場してしまうので、血で血を洗うぶち殺しあいを期待して観ているとなんだか拍子抜けしてしまいます。この辺の展開がなんだかシュールなんです。狙ってシュールにしたわけではないんでしょうが、言ってみればヤマ無しオチ無しイミ無し、という、なんだか”やおい”なホラーであったことを考えると、シュール、としか言いようの無い映画でありましたな。ただ、登場人物は皆クセのある顔していて、そのせいか見ていて退屈する事はありませんでしたがね。特にあの目つきの陰気な司会者のデブ。あれキャラ立ってたよなあ。でもまあ、さすがにレイトショーオンリーの映画以上のものではなかったですけどね。