ザ・シューター/極大射程 (監督:ペンエーグ・ラッタナルアーン 2007年アメリカ映画)

熱い男の熱い映画、それがこの『ザ・シューター/極大射程』である。主人公は海兵隊の狙撃手ボブ・リー・スワガー(マーク・ウォールバーグ)。彼はアフリカでの作戦行動中に指揮していたCIAに見捨てられて友を失い、傷心のまま一人山奥に篭って過ごしていた。しかしそんな彼に政府の秘密組織からある作戦への協力が要請される。大統領暗殺計画が進行中であることが発覚したのだが、その狙撃手はどのように計画を練るのか同じ狙撃手として推理してほしいというのだ。最初は協力を拒否していたスワガーだが、国を愛する心に再び火が付き、彼らへの協力を決意する。しかしその時スワガーは自分が恐るべき巨大な陰謀に巻き込まれる事になるのを気付いていなかった…。原作はスティーヴン・ハンターの『極大射程』。実は増分前に読んでいたんですが、物凄く興奮させられた小説だったのを覚えています。

なにしろもう、世界の裏で暗躍する暗殺組織の巨大な陰謀にたった一人で立ち向かってゆく主人公スワガーの孤軍奮闘獅子奮迅の様が熱い!主人公は徹底的なサバイバル訓練を受けていて、これがもう滅法強い!大勢の敵相手に智略と狙撃手の腕で立ち向かってゆく!悪い奴等を千切っては投げ千切っては投げ、最後はお手製ナパームでこんがりステーキだ!その有様は鬼神の如し!向う所敵無しの超人振り!悪い奴等はオレが倒す!お前らみんな地獄で後悔するがいい!…しかしこうやって書いていて気付いたがこれって『ランボー』じゃないかよ…。あとチャック・ノリス系とか古くはチャールズ・ブロンソンとかな!無敵の特殊工作員ということで、ちょっと泥臭い『ボーン・アイデンティティ』と観る事も出来るかな。だいたい最近のアクション・スリラーはハイテクが幅利かせ過ぎなんだよ!これからは野生の勘と野獣の魂を持った不屈の男が必要なんだ!…いや何に必要かは判んないけど…。それにスワガーは決してマッチョと言う訳ではなく、敵の裏を、そのまた裏をかいてゆく、頭脳戦に秀でている所もまたかっこいい!

しかし主人公は最後まで決して孤立無援というわけではなく、孤独な主人公に少しづつ協力者が現れ、彼を助けてゆく様がまたいい!最初はやられっぱなしで瀕死の状態までボロボロになった主人公をかくまう、戦死した友人の奥さんがいい!女だって熱い魂を持っているんだよ!いよっ、お姐さんイナセだね!それから事件の捜査をするうち、陰謀に巻き込まれた主人公を助ける羽目になる新米FBI捜査官のドン臭い雰囲気がまたいい!でも一見ドン臭いヤツでもその魂には火が付いているんだよ!がんがれ見た目のドン臭いキミ!

普通のアクション映画と違う所を挙げるとしたら、主人公が狙撃手だから、アサルトガン振り回す”動”のアクションと共にスナイパーライフルを操る”静”のアクションも兼ね備えているという所だね。火薬を多量に使った爆炎だらけのアクションシーンも凄かったが、やっぱり長距離からヘッドショットする場面はそれとは別の部分でゾクゾクくるもの。それとスーパーマーケットで買った材料で出来る救命サバイバルからお手製爆弾まで、リアルっぽい豆知識が面白いね。原作でも銃についての描写、銃を撃つことの心得など、実に銃に関する記述が多いから、銃やミリタリー物の好きな方はもっと楽しめるかな。

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極大射程〈上巻〉 (新潮文庫)

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極大射程〈下巻〉 (新潮文庫)

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