グエムル -漢江の怪物-

韓流モンスタームービー『グエムル』であります。えーっと川からオタマジャクシのでかくなったような怪獣が現れて人々を襲ってゆくわけですな。で、その怪獣に連れ去られた女の子を家族が力を合わせて救おうとする、という物語です。特筆すべき点は長女ナムジュを演じるペ・ドゥナのジャージ姿と中学生のヒョンソの濡れて体に張り付いた制服と、次男のナミルのぶちきれそうな目つきと家長であるヒボンの爺さんぶりと、そしてなによりソン・ガンホ演じる長男カンドゥのブヨブヨの体格にイケテナイ染めた金髪、といったところでしょうか。この長男カンドゥのドン臭さがちょっと笑えなかったんですが、要するにダメダメ父ちゃんが娘の危機に一念発起して最後に生まれ変わったような大活躍をする、ということを描きたかったのでしょうか。韓国映画ってこういった強烈な家族主義の描かれ方が一般的なのかどうか判りませんが、なんとなく「あー韓国といえばこういう激情なんだろうねえ」などと妙に納得して見ておりました。韓国映画のイメージってどうもこのオーバーな激情ぶりって感じがして、オレはこれがどうも苦手なんです。悲劇的な体験に対して床を這いずりながらワアワアと泣けるのは実は素直で健康な事なのだとは思いますが、そのストレートさが苦手なんでしょう。
さて今回の『グエムル』ですが細部のツメが微妙に甘いような気がする。何故あんな立派な牙を持ちながら人間を食っちゃうときに「飲み込む」ことしかしないのか?などと考え始めるともう駄目です。お陰で、結構人は襲われますがスプラッタシーンはそれほどありません。人体破壊も臓物もありません。人を襲って食うくらいならやっぱりここはバリバリと獰猛に肉体に喰らい付き、手足バラバラ首チョンパ、ハラワタドッカーンッ!血飛沫ドッバーッ!と来てくれなければ納得がいきません。え?そんなものを期待するのはお前だけだ?…やっぱりそうでしたか…。どうもオレがこの『グエムル』をフツーに観てしまったのはそこに原因があったのだと思えてなりません…。